だ ぶ る
□40話その後
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「はぁ〜…」
ソファーに座っていた左翔太郎は、深い溜め息をついた。理由はただ一つ。
「…ちょっと翔太郎くん! 竜くんにキスされたぐらいで、さっきから溜め息つきすぎ!!」
腰に手を当てて、亜樹子が言う。
「だぁぁーっ!! 忘れようとしてたのに、言うなよっ!!」
傷口を抉られたような気分で、翔太郎が悲鳴に近い声を出した。
「…あのねぇー、キスなんてものは、ただ単に唇と唇が重なったってだけの話なんだから!」
亜樹子が自分の唇を指差しながら言い、翔太郎の隣に腰掛けた。
そんな事を言っているが勿論本当は、亜樹子自身大きなショックを受けていた。
相手は男といえども目の前で自分の好きな人の唇が奪われたのだ。そう簡単には受け入れられる筈がない。
「はあぁー…」
亜樹子の慰めの言葉で翔太郎が立ち直れる筈も無く、翔太郎は今日で何十回目かの溜め息をついた。
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