タン/ブリン/グ
□キャプテン
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二人の立っているマットに悠太が近付きつつ言う。
「…昨日はすまなかった、怒鳴ったりして」
「…何言ってんだよ。俺等こそ悪かった。やっぱり練習は皆でやらねえと意味無えしな」
航が少し照れ臭そうに悠太から視線を逸らして言ったが、その頬は緩んでいた。
「おいおいー! 何、こそ練してんだよ」
そう聞き慣れた声が聞こえ、振り返ってみると、其処には何時ものような笑みを浮かべた亮介が立っていた。
「月森…」
釣られて悠太と日暮里と航は自然と口角が上がる。
「こそ練はお前もだろ」
「そうですよ!」
続いてそう声がすると思ったら、最初の声の主水沢と、次の声の金子が亮介の後ろ居て、続け様に木山と土山と火野が入って来た。
「みんな…」
悠太が嬉しそうに呟いた。
「皆考える事は一緒なんですね」
火野が可笑しいと言わんばかりに微笑んでいる。
「あ〜あ、俺が一番だと思ってたのによ!」
亮介が首の後ろで手を組むと、残念そうに口を尖らせた。
「バーッカ! …遅えんだよ、お前ら!!」
航が皆の顔を見回しつつ言う。
「ほらほら、練習始めるぞ!」
悠太が何時ものように手を二回叩くと、そう言った。
その顔には柔らかな笑顔が浮かんでいた。
「「おうっ!!」」
皆の元気な声が、朝早くの体育館に大きく響き渡った。
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