Ice Empress
□忍足侑士 HAPPY BIRTHDAY 2009
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一年に一度、大概の我が儘が通る日、それが誕生日。
頼まれる方はたまったものではないが、それを叶えてやりたいと思うのが誕生日。
氷帝学園中等部三年、忍足侑士、この有益な日を存分に使うべく恋人の元へ悠然と歩いていた。
10/15 HAPPY BIRTHDAY
「けーいご!迎えに来たで!」
一日の授業が終了し、愛しい恋人、跡部景吾の元に来ていた。
今日は部活が休養日の為、午後から丸々休みだ。
「…おせぇ、俺様を待たせるなんて何様だよ?」
「すまんな、今日日直やったんや。」
「てめぇが迎えに来るっつったから待っててやったんじゃねぇか。」
既に教室に残っている人間は数人しかおらず、そんな状態でも待っててくれた跡部に愛しさが込み上げる。
「…ありがと、景ちゃん、大好きやで?」
「くだらねぇ事言ってねぇで帰るぞ。」
サラっと流され、うなだれると背中を跡部におもいっきり叩かれてバランスを崩す。
「酷いわ、景ちゃん、俺、今日誕生日なんに…。」
「誕生日だから、待ってやったんだろ?有り難く思えよ。」
いつもの跡部なら待ち合わせに遅れれば容赦なく罵声を浴びせた上で、一日荷物持ち確定。
それに比べれば、今日はかなり、いや、ものすごくいい方だ。
「てめぇの言う通り、物は用意しなかったが、本当にそれでいいのか?」
「あー、去年もその前ももろおてるからええんよ。」
付き合い始めたのは二年前の跡部の誕生日、俺は両手一杯の真紅の薔薇を送った、跡部は顔を真っ赤にしながら答えてくれた。
そして、付き合い始めてすぐの誕生日、黒い革に銀細工が付いたチョーカーを渡された。
『首輪がわりだ、俺と会う時は必ず付けろ。』
まるで拘束具だ、先に好きになったのは俺なのに、いつの間にか跡部に縛られている。
「何ボケっとしてんだ、行くぞ。」
「あ、あぁ、待ってや。」
さくさく廊下を歩いていく跡部の後ろを付いていった。
『イベントは、これからやで?』