Ice Empress


□忍足侑士 HAPPY BIRTHDAY 2011 NEW!
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「てめぇ、何で誕生日来なかったんだよ?」

「プレゼントはあげたやん、お揃いの腕時計」

「そんな事言ってんじゃねぇ、いつもなら…」

「いつもなら…なんや?」

「二人で……過ごしたじゃねぇか…」


そう、今日は俺の誕生日、けど今回10月4日の跡部の誕生日は一緒に過ごさなかった。

何故かと言うと少し趣向変えようと思ったから…


「俺と過ごす前はみんなでパーティーしとったやん?あれも楽しいやろ?」

「まぁ、それもそうだが…」

「何や?今日は俺の為に時間作ってくれたんやろ?」

「……自惚れやがって…暇だったから来てやっただけだ!!」


相当頭に来ているのだろう、額の皮膚がピクピクし今にも血管が切れそうな勢いである。

しかし、今回はバレたら終い、絶対跡部には知られてはいけないのだ。


「第一!!何でこんな所に呼ばれなきゃなんねぇんだ!!」

「ええやん?たまにはこういうとこもええやろ?」


跡部を呼びだしたのはとある公園、何の変哲もない普通の公園だ。
しかも、そろそろ肌寒くなる10月半ば、跡部がイライラするのは無理もない。
自分のコートを脱いで跡部の肩にかけてやる、この程度の寒さなら自分は特に問題ない。


「とりあえずそれ着て我慢しとき?もうちょいやねん」

「……時間が関係してんのか?」

「まぁ、それはお楽しみや」

「……待たされるのは好きじゃねぇ」


それは百も承知です、跡部さん。
それが分かった上でこの日を選んだんですから。


「せめて場所を変える事くらい出来ねぇのか?」

「せやなぁ、それは聞けん頼みやな」

「じゃあ、せめて何か温かい飲み物でも用意しやがれ!!」

「しゃあないなぁ…ならそこで待っとき?缶コーヒー買ったるから」

「ブラック以外な?」

「カフェオレやろ?甘いのがええんやな?」

「分かってるなら聞くな…馬鹿…」


自分のコートをしっかり握ってベンチに座っている大事な恋人は今や氷帝高等部のキング…いや、もう既に学園全体のキングと行っても過言ではない。

そんな人間の傍にいるのは並大抵の努力じゃ足りない、今までも相当な努力を重ねてきた。

でもこんな時の跡部は物凄く我儘で甘えたで可愛い、一人の普通の人間に戻る。

それを見せてくれるのは自分にだけだと思うと尚更だ、離せる訳がない。

自販機で同じ缶コーヒーを二本、勿論ホットで。

足早に跡部の元に戻ると何やら空を見上げている。


「今日は随分星が見えるな…」

「せやなぁ…冬が近くなると空気が澄んでくるしなぁ…」

「東京でこんな星空見えるなんて思わなかったな」

「だから連れてきたんやけどな」

「だから?」

「まぁ、それももうちょいお楽しみやな」


全部言ったら面白くない、今日は俺の誕生日、お前からもらうプレゼントはもう決めてあるからな。
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