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□Sweet Honey NEW!
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ほんまに敵わんわ、鳳の奴。

宍戸が酔っぱらったんは俺らのせいやて、めっさ黒いオーラで家に来よった。

その日はほんまに偶然やけど、景ちゃんとお部屋デートやったんや。

それを知っていたかのようなタイミング。

有り得へんわ。

しかも、景ちゃんも負けず嫌いやし、鳳の挑発に乗ってしまいよった。

これもほんまなら有り得へん事や。

確かにあんな事言われたら、俺でもやられてたかもしれへんしな。




「この間は差し入れありがとうございました。」

「気にする事あらへんやろ、それで宍戸とは上手くいったんかいな。」

「はい、まぁ、今日はその事で伺ったんですが。」

「もうすぐ跡部も来るし、はよしてや?」

「なんで、忍足さんは宍戸さんの酔っぱらった姿を知ってたんですか?」

「へっ?」


いきなりの質問は驚くわ。

しかもそんなプライベートな質問。

言っていいのか悪いのか、判断しようがないやろ?

けどな、鳳が笑った顔って怖いねん。

確実に百倍返しはくらいそうな笑顔なんや。

想像つくやろ?

確かに宍戸の酔っぱらった姿を見たのは、去年のクリスマスやった。

ふざけて用意していたお酒とジュースを間違えて飲んでしまったのが要因なんやけど。

その時、鳳はおらんかった。

準レギュラーやったし、家族と過ごすゆうて参加せんかったんや。

まだ宍戸とも付きおうてなかったし、特に関わりもなかった。

けど、あの宍戸の事やからそのくらい話してると思ったんや。

こう聞きに来てるゆう事は知らんかったんやろなぁ。


「あのな、別に宍戸と特別な事があった訳やないんやで?」

「それは分かってます、そんな事があったらいくら忍足さんでも許しませんから。」


ほんまに怖い子やんなぁ。

正直に話した方が無難やろ。

俺は鳳を部屋の招き入れた。

とりあえずソファに座らせ、冷蔵庫から水出し緑茶を出し、合い向かいに座る。

笑顔のまま黒いオーラを出し続ける鳳に心の中で溜息を付きながら忍足は話し出した。


「あんな何であんな差し入れしたんか、理由は分かってるやろ?」

「はい、それは何となく。」


宍戸以外の事では頭が切れる鳳は俺が言わんとしてる事が少しは分かるんやろな。

表情は全てを理解している顔に見えたんや。

けど、結論はそこやなかった。

宍戸が酔った姿を知った上で何でこんな差し入れをしたかってとこやった。

いや、言わんでもそこは分かる。

単純に鳳を驚かせたかったんや、些細な悪戯心やったんや。

宍戸は酔うとやけに饒舌になる。

普段言葉が足りん二人にはちょうどええと思ったんや。

けど、それが裏目に出てもうたんやな。


「ほんの悪戯心や、跡部は知らんで差し入れしとるし、俺がした事や。」

「そんな言い訳しても駄目です、俺、もう用意してきましたから。」

「何のや?」

「忍足さんに俺と同じ思いをしてもらおうと思って。」

「同じ思い?」

「これ、跡部さんに飲んでもらおうと思って。」


そう言って鳳が差し出したのは、明らかにアルコールの瓶やった。

たぶん宍戸の事を話したら、責任感の強い跡部なら飲むと思ったんやろな。

けど、そんな事はこの俺が許さへん。


「そんなもの、飲ます訳ないやろ?」

「いえ、跡部さんなら飲んでくれると思いますよ?」

「誰が何を飲むって?」


正に鳳にとっては絶好のタイミング。

鳳と話している内に景ちゃんが来る時間になってもうた。

本当に絶妙なタイミングで。
 

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