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□Drunkard NEW!
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跡部さん、忍足さん、もしかして知ってたんですか?
いや、あの二人の事だから絶対知ってたんだと思う。
今日は宍戸さんと少し早いクリスマスパーティーをしている。
宍戸さんの部屋だと騒げないという事で今日は俺の部屋を提供した。
ケータリングで料理を用意し、飲み物は跡部さんが差し入れしてくれた。
その跡部さんの気回しも実は裏に忍足さんがいた事は後で分かった事なんですけど。
「よし、長太郎、乾杯しようぜ!」
「そうですね。」
宍戸さんが部活を引退し、高等部へ練習に行き始めたのもあり、二人で過ごす時間がぐっと減り、二人とも苛々していた頃に跡部さんから俺にお声がかかった。
『宍戸が苛々して練習に身が入ってねぇ、どうにかしろ。』
ストレスが溜まりすぎたのだろう、闇雲にハードな練習をして、くたくたになってしまっているらしい。
身体を酷使するだけでは実力を付ける事は出来ない。
その様子があまりに目を当てられない状況になり跡部さんが俺に泣き付いてきたのだ。
『明日、明後日、特別に部活を休みにしてやる、その二日でどうにかしろ。』
『…分かりました。』
確かに宍戸さんとはここ二週間会っていなかった。
期末考査が重なった事もあり、連絡方法が専ら電話やメールだった。
だからとは言え、パートナーの様子を把握できなかったのは俺の落ち度だ。
宍戸さんと俺が付き合っているのを知っているのは跡部さんと忍足さんだけ。
あとの人は気付いているのか、いないのか分からないが何も言われなかった。
俺達の関係を知っているからこその采配、見事としか言えなかった。
グラスを軽快な音を立てて合わせると注がれていたジュースを一気に飲んだ。
「うおっ、このジュース美味いな!」
「本当ですね、国産でしょうが一般には売られてはいないものでしょうね。」
「……どこまでも坊ちゃんだな、あいつは。」
正直、俺も宍戸さんと一緒にいるせいで浮かれてたんです。
普段だったら絶対に気付いてたと思うんですけど、本当にしてやられました。
相当、喉が渇いていたのか、宍戸さんは既に数回ジュースのお代わりをしていた。
「宍戸さん、あんまり飲んでるとお腹がたぽたぽに……。」
美味しいのは分かるが流石に飲み過ぎである。
止めようと宍戸さんの肩に手を置くと、振り向いた宍戸さんの瞳に心臓が射ぬかれた。
「……ちょうたろ?」
明らかに言葉遣いがおかしい、舌足らずに名前を呼ばれ心臓がバクバクする。
「……宍戸さん?」
「…なぁ、セレブが飲むジュースって気持ちいいなぁ…。」
…気持ちいい?
テーブルの上に乗っているジュースの瓶を手に取ってよく見てみる。
「……リキュール類?……これ、お酒じゃないですかっ!!」
「ちょーたろー、お前ってほんと、可愛いよなぁ。」
「へっ!!?」
……跡部さん、忍足さん、やっぱり怨みます。
貴方達はこんなに可愛い宍戸さんを俺より先に知っていたんですよね?
仕返しは三倍返しですよ。