過去拍手文

□ユーウツ・グッデイ
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冬のさみー中、ちょっとだけあったかい日のことを小春日和ってゆーらC。
じゃあ、梅雨時に見える晴れ間は何てゆーんかな?小晴れ日和?……何か違う気がする。
その、梅雨時のちょっとだけ晴れてる、でも微かに湿気が混じった空気の中、ダラダラと階段を昇る。
「ユーウツだねぇ……」
踊り場で誰にともなく呟いて、きゅーけー。
ただでさえ天パな俺の髪は、湿気のせいで複雑に絡まり合っている。
「ユーウツですねぇ……」
もっかい呟いてから、歩き出す。


ガチャリとノブを回して屋上に出ると、晴れてるのに誰もいなかった。
携帯を取り出して素早くメールを打った。

To:丸井ブン太
Sub:晴れたねー
本文:今日は外で部活出来るかなー?

送信してからパタンと閉じて、重そうな雲を背負った青空を見上げる。
そのままボンヤリしてたら携帯がメールの着信を告げた。
確認するとブンちゃんからで、授業中のはずなのに返信が速くてウキウキした。
晴れてるから、電波もよく飛ぶのかも?

From:丸井ブン太
Sub:神奈川は雨だ
本文:だから部活は筋トレ。つーかお前、授業は?晴れたからって屋上で寝んなよ!

「バレてる」
さっすがブンちゃん!
でもそっかー神奈川は雨かぁ〜。
隣の県なのに、天気が違うのはよくあることだけど、このユーウツな時期にそれが起こると、俺とブンちゃんの距離をこれでもか!ってほどに感じてしまって、ますます俺は
「ユーウツだぁー」
と叫んでしまう。
そしたら天気がそれに応えるように、みるみる雲が集まって来て空に青が見えなくなった。
ヤバイ、一雨来そう。気圧下がって来た…ねみー。
屋根まであと一歩の所でザッと降り出し、一瞬で俺はズブ濡れになった。
「冷てぇ!サイアク!」
こんな格好じゃ教室には戻れねぇC、スッゲェ眠い。
屋根の下で膝を抱えて雨宿り。
「ホント、ユーウツ」
今日何度目になるかわかんねーユーウツを呟いて目を閉じた。


ケーカイな音楽で目が覚めた。
携帯を確認するとブンちゃんからのメール。

From:丸井ブン太
Sub:雨止んだ!
本文:地面濡れてっから、部活は無理だけど。良いもん見れたからお裾分け☆綺麗だろぃ?

くっついて来た写真には、くっきりと虹が写ってた。
「うわぁ」
思わず声を出して、ふと気付く。雨の音がしねぇ。
顔を上げると東京の空にも、虹。
薄ら今にも消えそうなソレを慌てて撮って、メールを作る。

To:丸井ブン太
Sub:マジマジスッゲー!!
本文:こっちにも虹出たよ!きっとブンちゃんの虹と繋がってるね!

「よーし飛んでけー!」
虹を渡れない俺の代わりに、携帯を虹に向けて送信。
そういや虹って赤の隣がオレンジで、そのまた隣が黄色じゃなかったっけ?
ブンちゃんは赤が好きで髪も赤くて。
俺の好きな色はオレンジで、俺の髪は黄色い。
そんなちっちゃい偶然にさえ俺たちの運命を感じられて。
さっきまで俺の中に蓄まってたユーウツは、ちょっとだけ小さくなっていた。


E.

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