過去拍手文

□ドキドキの条件
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夏休みまで勉強なんてやってらんねーよ!
宿題だけで手一杯だC、部活だって大会があんのに!
そりゃあ、ほとんど睡眠学習してた俺もちょぉーっぴり悪かったかもしんねぇけどさ。
よりによって部活もなんもねぇ日に補習しなくてもEじゃん!
おかげでデートが流れちゃったよ!!
次のデートは絶対ぇ俺の奢りだよ、今お小遣いピンチなのに!
ってゆーか次のデートなんていつになるんだろー?
うぅ、ブンちゃんに逢いたい…。


朝からずーっと色んな教科を勉強したせいで、俺の頭は爆発寸前だ。
加えて一番苦手な古典がここで来て、全てを投げ出したくなる。
思わず課題のプリントをグシャグシャに丸めて放り投げようとした瞬間、我に返った。
「やっべーじゃんコレ、提出すんのに!」
こんなことしたら補習増えちゃう!
慌ててシワを伸ばしたけど後の祭りだ。
「もーヤダ」
プリントと同じくらいグシャグシャな気分で、それでも放棄するわけにも行かなくって、シャーペンを握り直す。


せーしょー納言を習ったのは、ボンヤリと覚えてる。
あの春はどの時間が良くて〜とかって言ってた人だよね。
俺も春は好き!寝てても怒られねぇもん。
でも、今回のは季節のオススメの話じゃない。
何か、ドキドキする時の話?
競馬見てる時とか〜、家族が流行ってる病気になったとか〜。
俺競馬はわかんねぇけど、テニスの互角の試合ならわかる。タイブレーク突入しちゃったら、ちょードキドキするよね〜。
病気は特に妹が掛かった時に心配す、る……。


「なぁ、立海の丸井って格好良くねぇ?」
岳人、何を今さら!ブンちゃんはずぅーっと前から格好Eよ!!
「あ、それ俺も思いました。同じサーブ&ボレーヤーとしても尊敬します!」
A?鳳ってば宍戸以外の人にそんなこと言っちゃってEの〜?
「あの人がサーブ&ボレーヤーなら、俺もプレイスタイルを変えても良いな」
ちょ、ちょっと何言い出しちゃってんの日吉!演舞テニスは?
「ん〜テニスだけやなくて、性格にも興味あんな〜。あーいうタイプと一遍付き合うてみたいわー」
ダメ!それだけは絶対にダメ!!忍足には岳人がいるじゃん!!
ってゆーか、みんな変だ。
やたら丸井、丸井って……。


「ブンちゃんは俺と付き合ってんだからー!!」
「そうだな」
「へ?」
返された声に目が醒めた。
どーやら俺は課題やってる途中で、寝ちゃったらC。
何だ、さっきのは夢か…。
「よ、良かった〜」
叫んだ時に立ち上がったらしく、ヘナヘナと椅子に座ったら。
「全然良くねぇよ」
呆れた顔でこっち見てんのは
「ブブブブンちゃん!」
何で?どうして?
だってここは氷帝で、今日はデートもキャンセルしちゃって、だって…。
こんなとこにブンちゃんがいるわけねぇのに。
目の前の事実に頭が追っつかなくて、心臓はドキドキ言ってるし、頬っぺたはカァって熱くなる。
それなのにブンちゃんは、余裕の笑みで
「そろそろ終わる頃かと思って迎えに来た。お前寝てたけど」
「うっ、あー」
「ほら、サッサと終わらせてアイス食いに行こうぜ!もちろんお前の奢りで」
ブンちゃんに促されるまま、俺はノロノロ課題に向かう。
「しっかしでっけぇ寝言だったよな。どんな夢見てたんだ?」
「忘れた」
「何だよそりゃ。おっ、あと一問じゃん」

問:あなたが思う胸つぶるるものは?

「……」

答:グシャグシャな課題を提出すること。

「あー、まーコレじゃーな」
苦笑してる横顔に本当は

答:突然目の前に恋人が現れること。

なんて絶対教えない。


E.

君を想へば、胸潰るる

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