過去拍手文

□お菓子のお家
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人より眠る時間が多い体質。眠るのが好き。だけど見た夢はそんなに覚えてない。
そんな俺が鮮明に覚えてる悪夢の話。
あれは確か妹が生まれたばっかで、俺も幼稚園児で夜寝る前に母ちゃんが読んでくれた絵本の話がそのまんま夢に出て来たんだった。
タイトルはよく覚えてないんだけど、兄妹が親に捨てられて、森でお菓子の家を見つけるんだけど、その家は悪い魔女の家で兄妹は捕まっちゃうんだ。
夢ん中で俺は、赤ちゃんだった妹を守んなきゃって頑張ってたけど、俺自身も怖くて怖くて・・・あの話って結局どうなったっけ?


「家に帰ることが出来ました。めでたしめでたし」
俺とブンちゃんの間にブンちゃんジュニアたちを挟んで、四人で雑魚寝。ジュニアたちがお昼寝出来るように、ブンちゃんはいつも絵本を読む。ホントEお兄ちゃんだよね!
「何だ、珍しく起きてんじゃん!」
「んー」
絵本を読むブンちゃんの声は優しくて穏やかで、ジュニアと一緒に俺まで寝ちゃう。けど今日は。
「俺ちっちゃい頃この話苦手だった」
「へえ、何で?」
「一回は捨てたクセにお宝持って帰っただけで、あっさり受け入れる親にムカついてさ〜」
「まー確かにな」
「あと、夢に出て来ちゃって」
「魔女が?」
「そー。うちも妹いんだけど、俺と妹が捕まるんだけどすっげえ怖くて」
「ちっちゃい時だもんな」
「どうしよー!!ってなってる時に朝が来て、無理やり起こされんの。もー寝覚めサイアク!!」
「ばーかそんなん簡単に解決出来んだろぃ」
「A、どうやって?」
ブンちゃんが耳打ちしたアイディアに俺は笑ってしまった。
いかにもブンちゃんらしい、素敵な考えだと思う。


俺とブンちゃんは男同士なのに恋に落ちて、駆け落ちみたく家を出た…んだけど、うっかり森で迷子。
そんなにお金持ってないし、お腹も減って来た。
どーしよーって困ってるとこに
「スゲースゲーお菓子の家だ!!」
「これで食いモンには困らねえな」
ちゃんとムースポッキーやガムもある!嬉C!!


「私の家を壊すのは誰だ!!」
う、この声は・・・。
「行儀の悪い子たちだね、人の家を食べるなんて。捕まえて…」
「あー悪ィ。その家なんだけどよ」
「何だい、人の話は最後まで…」
「全部食っちまってもうねえよ」
「何いいいぃぃぃぃぃ!!」
「ブンちゃん食べ過ぎー」
「あのぐらい朝飯前だろぃ」
「今は晩ご飯の時間だけどねー」
「細けぇこと言うなよ」
「まあとにかく」
「「ごちそーさまでした!!」
魔女にきちんとお礼を言って、俺たちはまた旅の続き。お腹いっぱい元気いっぱい。


……今日の夢はこんな夢。


E.

「魔女が出てくる前に、全部食っちまえば良いだろぃ」

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