過去拍手文

□不思議ノ国ノ
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ついに尻尾と耳とヒゲが生えて完全に猫化した青学の菊丸とプレイスタイルについて話してたら、遠くから全く似合ってない白いウサ耳をつけたジャッカルが凄い勢いで俺たちの目の前を横切ってった。
「やべぇぞ、遅刻だ!」
とか言ってるから、俺も部活じゃん!って思い出して慌ててジャッカルを追いかけたら・・・穴に落ちた。
落ちる瞬間菊丸が
「残念無念また来週〜」
って手ぇ振ってた。助けろよ!!


落ちた先は散々だった。お菓子や飲み物を口にするとやたら身体が伸び縮みするし、そんな物騒なモン置いとくなっての!
最初に会ったのは氷帝の向日。ようやく念願叶って翼が生えたらしく
「悔しかったら飛んでみそ」
なんて言ってたけど、向日の翼はどう見てもダチョウとか飛べない類の鳥のもので、その分身体が重くなって人間の時より跳べてなかった。指摘してやると
「くそくそドードー鳥って鳥じゃねぇのかよ!」
って喚き出したから無視して俺は進むことにした。


木更津兄弟が二人揃って並んで、ロン毛が亮だよな?俺のこと見てクスクス笑うから
「何だよ?」
「だって丸井君の格好ってば、ねえ淳?」
「似合ってるところがまた凄いよね、亮」
そこで初めて俺は自分の格好を見直して…絶句した。
ス カ ー ト!
道理で足がスースーすると思ったら!じゃなくて、双子に着替えを要求したら肩をすくめて
「「女王様に頼むべきだよ」」
女王様?一応礼を言って適当に歩いてたらえらくミニマムな山吹の亜久津に出会った。頭に触覚(青学の大石のとは違って、本物)つけて煙草を吸ってて正直関わりたくなかったんだけど
「女王様がどこにいるか知ってっか?」
「ああ?」
やっぱ聞くんじゃなかったっと後悔してたら、ケッて右方向を指差す。あれ、案外良いヤツ?俺はそっちに走った。
「恩に着るぜぃ亜久津!煙草はほどほどにしろよ」
「俺に指図すんじゃねぇ!」
とか怒声が追いかけて来たけど、あのサイズじゃ追いつけねぇだろぃ。


だけど、亜久津の教えてくれた道の先には家が一軒。城じゃあなさそうだな。
庭にでっけぇテーブル出してお茶会が開かれてた。シルクハット被ったルドルフの観月と、茶色いウサ耳つけたヒロシと、ちっちゃくなってネズミの格好したジロー・・・。
うお、ジロー、いつも以上に可愛くねえか?じゃなくて
「ヒロシ、ジャッカル見てねえか?って言うかお前部活は?」
「ジャッカル君ならもうすぐここに来ますよ。部活の開始時間までまだ時間があるので大丈夫です」
「なら良かった」
「んふ、どうです丸井君?あなたもここでお茶を飲んで行かれては?」
「背ぇ縮んだりしねぇか?」
「大丈夫です」
「じゃあ遠慮なく」
お茶会は楽しかった。観月の長ぇ紅茶談義はほとんど聞き流してずっとジローと喋ってたんだけど、俺らを見たヒロシが
「驚きましたね。芥川くんがこんなに長い時間起きていたのは初めてです」
だってさ。しかし一時間近く経っても、ジャッカルが来る気配はない。
「やっぱ俺ジャッカル探して来る」
ジローも連れて行きたかったけど、可愛く「待ってる」って微笑まれたから泣く泣く別れを告げて、俺は家の裏に回って歩き出した。
「しっかし家の裏に森があるってどういう構造してんだよ」
「ここでは何でもありじゃ」
「うわ仁王!」
紫色の猫耳なんかつけて、相変わらず喰えない笑顔を浮かべてやがる。
「何じゃ丸井、その格好は」
「俺だってわかんねぇよ」
「なかなか似合ってるぜよ」
「嬉しくねぇ。それよりジャッカルを見なかったか?」
「ああ見たナリよ。黒い白馬にまたがって左の曲がり角を右折してったのう」
なるほど、あいつ乗馬が趣味だもんな。そんなワケあるか!
「女王様って知ってっか?」
「女王様の城ならあっちじゃ」
「サンキュー仁王」
礼を言って、俺は仁王が指したのとは真反対へと歩き出した。
「信用ないのう」
詐欺師の言うことを簡単に信じるワケないだろぃ。
しかし俺の勘は外れて行き止まり。おそらく目の前の壁は噂の女王さまの城の城門だろうけど、よじ登れる高さでもなく・・・。
引き返して来た俺を見て、仁王がニヤニヤ笑っている。何も言わずに通り過ぎると後から付いて来た。
「何で付いて来んだよ」
「部活」
「だったら何でさっき止めなかったんだよ!」
「俺はちゃんと正しい道を教えたナリ。勝手に違う方へ行ったのは丸井ぜよ」
こいつ、絶対ぇ俺が逆行くってわかってて教えたな!


そんなこんなでようやく城の正門へと辿り着き、誰もいなかったから勝手に入った・・・城のセキュリティこんなんで良いのか?
庭では氷帝の日吉がスペードマークの被りもんなんか被って
「下剋上だ!」
って呟きながら(ホントにこの城大丈夫か?)白いバラに赤いペンキ塗ってたり、真田がハートの被りもの被って真剣で草を刈ってたりするけど・・・仁王とも意見が一致して見なかったことにした。
城ん中はとにかく広くてどこに行けば良いのかさっぱりわかんねぇから、取り合えず一番デッカイ扉を開けると物凄く人が集まっていた。その人ごみの中に・・・
いた!ジャッカル!!
ってことは今日はここで部活なのか?どうもそんな雰囲気じゃねえけど。
「これより裁判を始めます」
ジャッカルのくせに進行役かよ。
「女王様」
ああ、あれが噂の、俺に着替えを下さ…女王様って幸村だったんだ!?
「俺様がキングだ!」
跡部。ジャッカルが紹介する前に自分から名乗り出るあたりいかにも。いつもならはあ?って思うところだけど、認めよう。確かに今のあいつの格好はキングだ。
横にいるのは樺地か。遠くから見てもでけぇ。
「跡部、王者は立海だよ」
「アーン?」
「勝つのは氷帝、です」
あいつら絶対ぇ仲悪いだろぃ。
「そして被告人の切原赤也。罪状は女王様の焼き魚を勝手に食べたこと」
「だーかーらー俺じゃないっスよ」
うわー下らなねー。
「赤也、君じゃなかったら一体誰が食べたというんだい?」
怒らないから正直に言ってごらんってその笑顔がすでに怖い。
ヘラヘラ笑っている赤也とふいに目が合った。え?
「丸井先輩っス」
「ちょっと待て!」
会場にいたやつら全員が一斉に俺を見て
「ああ丸井、来てたのか」
「確かにあいつも大食いだからな」
「さっきまで仲悪かったクセに、急に意気投合すんな!つか俺じゃねえ!!」
「そんなことはどうでも良いよ丸井。それより君のその格好は何だい?」
「どうでも良くねぇ!俺だってこんな格好したかねぇよ。着替えくれ、着替え」
「気に入らないなあ、美しい女装は俺だけで充分なのに」
「だから着替えを」
「女王様、あいつ死刑にしますか?」
「ジャッカルてめー!!」
「そうしよう」
逃げようにも入って来た扉には真田と日吉がいて、じりじりと距離を詰めて来る。
畜生、こんなわけわかんねぇ死に方して堪るか!
「ブンちゃんが可愛くてカッコEのはしょうがないCー!意義ありー!」
真田たちの足下をジローがチョロチョロ駆けて来た。ああ、ジローお前だけでも味方になってくれて嬉しいよ・・・。
駆けて来るジローを抱きとめようとしたところで、横からサッと手が伸びて
「仁王!」
「すまんのう丸井。ネズミを捕まえるんは猫の性じゃきに」
「あのネズミも死刑で」
「勝手にうちの部員に手を出すな」
女王とキングが喧嘩を始めたことで場内は一気に騒がしくなった。
常勝立海大!!と氷帝コールがぶつかり合う。
だあああぁぁぁ!ウルセー!!


「・・・って叫んで目が覚めた」
「あはは、ちょー楽Cそうな夢だねぇ」
「スッゲー疲れた」
「俺ブンちゃんのワンピース姿見てみたい」
「ジロー」
「ん?」
「殴っていい?」


E.

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