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□赤青緑?あるいは黄?
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手のひらを太陽に透かして、ヒラヒラ振ったり裏返してみたり。
飽きもせずジローは自分の手を眺めている。
「手がどうかしたかー?」
「赤い糸ってさー」
「あー、小指に付いてるってやつ?」
「そうそれー。あれって男同士でも有効だと思う?」
「どーだかな」
ブン太の適当な返事に、寝転がっていたジローがむくりと上体を起こし、ブン太の頭に手を伸ばす。
そのままブチリとブン太の髪を数本引っこ抜いた。
「っだ!何しやがる!」
ブン太の振り下ろされた拳をスルリと避け、両手でブン太の拳を包む。
「じっとしててね」
広げさせたブン太の小指に、ブン太の髪の毛を巻き付ける。
「出来た!」
「オイ」
「赤い糸みたいっしょ!」
小指に結ばれた自分の髪の毛。
胸を張るジローは
「俺にも結んで!」
と手のひらに髪の毛を乗せて差し出して来る。
「お前、人の髪の毛を何だと思って…」
「だって綺麗じゃん」
「はぁ?」
「俺絶対運命の糸は、ブンちゃんの髪の毛の色だと思うんだよね!」
だから早く!とせかされ、何がだからなのか、とか。根拠のない自信はどこから来るのか、とか。
ツッコむ前にジローの指に自分の髪の毛を結んでいた。
「お揃い!これで俺の運命の相手はブンちゃんだかんね!」
「お前の発想には恐れ入るよ」
「じゃー俺寝まーす」
ブン太の膝に頭を預け、早くも寝息を立てる。
その頭を優しく撫で。
ついでにブチリと髪を数本引き抜く。
「いってー!何すんの!」
「やー男同士だったら、糸の色は黄色かもしんねぇなと思って」
「嘘だー」
「良いじゃん、運命の糸が二倍で」
「そんなこと言って、もうブンちゃんは俺から逃げらんないだからね!」
「臨むところ。お前こそ逃げらんねぇぞ」


E.

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