short

□Honey Trap
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いつからだったっけなぁ。
いっちばん最初の印象は、人が気持ち良く寝てたところを蹴飛ばしといて謝りもしないサイテーなヤツだった。
その上妙に自信たっぷりで、あんまり関わりたくねぇな〜ってのが正直な気持ち。
だけどその自信も頷けるほどテニスが上手くて、一瞬にして憧れの選手に。
以来そのプレー見たさに部活が休みの度に学校に忍び込むようになった。
最初のうちはこっそり遠目に見てたんだけど、あまりの凄さに黙ってらんなくて
「マジマジすっげー!!」
って叫んじゃって、あっさり見つかった。
真田君って人には怖い顔されたけど、幸村君って人は優しく「いらっしゃい」って言ってくれたC、何より俺のお目当てである丸井君が
「よお」
って言ってくれたのが嬉しかった。覚えててくれたんだ。俺が来ても迷惑じゃなかったんだ・・・。
以来堂々と俺は立海テニス部に行く。
こんなに頻繁に通ってたら電車賃もバカにならねぇC
「どうせ見に来るんなら、差し入れ持って来い」
って言われたからケーキを買ってくのが習慣になった。
お財布のピンチ!
なのに、今日も俺は立海に行く。
何で?どうして?
丸井君のプレーが見たいから?
でもそれなら大会でいくらでも見れるじゃん。
何でだろうなぁ〜。


きっと。
きっと試合の時じゃ見られない、チームのムードメーカー的なところや、美味そーにお菓子食べてるとこ。
そんな表情も見たいんだろうな、俺。
コートに立ってるめちゃくちゃカッコE姿も好きだけど、それ以外の、とーしん大の中学生っぽい表情も好きだ。
好きってどーゆー意味で?
憧れの存在ってこと?
だったら別にベンチでの仕草とかかんけーないじゃん。
まさか恋!?
俺も丸井君も男の子だよ!?
ってか恋するってどんな感じ?俺恋したことねーからわかんねぇや・・・。


いつからだったっけなぁ。
君に不思議な感情を抱くようになったのは。
言葉じゃ上手く説明出来ねぇけど、この気持ちを確認するために、俺は今日も君に会いに行きます。
差し入れに買った蜂蜜パイと一緒に。


E.

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