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□モグラの発情期
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関東じゃ雪はそんなに降らない。だけど気温だけはいっちょ前に冬で、外に出る気は起きず二人して慈郎の部屋でコタツに潜っていた。
「ジロー蜜柑なくなった」
「自分で取って来なよ〜。台所にあるダンボールから好きなだけ持って来ればEじゃん・・・」
今にも眠りそうな慈郎の様子に、ブン太は少なからず不満を覚えた。
今日はずっとこの調子だ。慈郎はずっと眠そうだし、自分は蜜柑を食べててろくな会話がない。
冬だから仕方ないと言えばそれまでだが、せっかくたまの休みでようやく逢えたのにこれでは何だか勿体ない。
「テレビ見る?」
「見ててEよ・・・」
「ゲームやる?」
「う〜、好きなのやってて・・・」
何とかジローの意識を呼び戻そうとするが、一向に効果はない。
「コタツって良いよな」
「うんサイコー・・・」
「コタツと言えば蜜柑だろぃ?」
「だから取って来なって〜・・・」
「俺一人じゃ運びきれねぇんだけど」
「お、往復すれば・・・?俺今冬眠中・・・」
完全に慈郎の意識が途絶え、いびきが聞こえて来た。


「冬眠中なら」
コタツの中の足を対面の慈郎の方へと伸ばし。
「春を呼んでやるぜ」
「んあ!ブブブブンちゃん!ちょっと!!」
「おはよージロー。どう?春が来たぜぃ」
「や、やめ」
「天才的?」
真っ赤になって両足をジタバタさせる慈郎をからかうように、ブン太も片足を動かす。慈郎の両足の間に割り入れた方を突くように。
「何?こんだけで感じちゃったの?」
「ブンちゃんの変態!」
「お前が寝るのが悪ぃんだ」
「だってコタツって気持ちEんだもん」
「ならコタツよりも気持ち良くさせてやるよ」
言うなりコタツの中に潜り込み、慈郎のズボンを下着ごと下げる。思った通り緩く立ち上がっている。
それを片手で握りながら反対の手でコタツ布団をめくる。
「なあ、ちょっと温度下げて。暑い」
しかし慈郎はブン太には目もくれず
「自業自得じゃん。Cらない」
「あっそう。そーいう態度取るんだ?」
今までゆっくり与えていた刺激の速度を上げてやる。
「あ、ひい、ブンちゃん!」
「ほーら、ジローも暑くなっただろぃ?」
「んく」
「なーに?足んない?」
「下げる、下げるから!」
潤んだ瞳で恨めしげに睨まれてもブン太には逆効果で。
「お前もこっち潜れ」
返事を聞かずに慈郎の上半身をコタツの中に引っ張り入れる。
「アッツ!」
「なら上も脱げよ」
「ブンちゃんも脱げば」
「言われなくても脱ぐよ」


外は木枯らし。コタツの中には一糸纏わぬ二人の姿。
「もー!汗だくで気持ち悪E」
「たまにはこーいうコタツの使い方も良いだろぃ?」
「……」
橙色の光の中でニヤリとブン太は笑って見せる。
「こーしてるとモグラみたいだね」
「モグラって発情期だけ必死に穴掘るんだっけ?」
「そーなんだ。じゃあブンちゃんは年中掘ってなきゃね」
「俺は掘る必要ねぇだろぃ」
「ずっと発情期じゃん」
「別に穴掘って相手探す必要ねぇじゃん、お前見つけたんだから」
「そっかー」


E.

睡眠妨害も襲われたことも今の一言でチャラ。

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