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□ドーナッツの向こう側
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東京と神奈川、電車で約一時間。
俺とブンちゃんの差。
身長で言えば四センチ。体重だと十三キログラム。
誕生日はブンちゃんが十五日早い。
ベッドでのポジション。
ブンちゃん、男の子。俺、女の子?
ううむ、二人の差は思ってたよりデカいかもしんない。
そもそも大好きなテニスでだってまだ勝てたことねぇしなぁ・・・。
まあでもブンちゃんがテニス強かったからこそ、俺はブンちゃんの存在を見つけられたワケで。
こうやってデートしたりイチャついたりできるようになったんだよなー。
そー考えたら結果オーライ?
いやでも何か一個、俺だってブンちゃんに勝てるモンが欲C!


「さっきからお前何やってんの?」
俺が覗いてたドーナッツの穴の向こう側で、ブンちゃんが呆れた顔してた。
「眼力ごっこ」
「はあ?」
「俺が、ブンちゃんに勝てるとこ探してた」
「見つかったかー?」
「無理。だって俺跡部じゃねぇもん」
「そもそもお前が俺に勝つなんて一生無理だろぃ」
「むう」
先に惚れた方の負けなんだC、それはそうかもしんないけどー。
「それ、いらねぇんならちょーだい!」
「はい、どーぞ」
俺があげたドーナッツをブンちゃんは本当においCそうに食べる。
そういうとこも好き。何だかんだで憎まれ口言うとこも。
「あ」
「今度は何だよ?」
「見つけた!」
訝しげな目を向けてくるブンちゃんに、俺はニッカリ笑ってみせる。
「ブンちゃんを好きな気持ちなら、誰にも負けねぇ!」
それは自分大好きなブンちゃんにだって!
発見したらお腹が空いて、唖然としてるブンちゃんがくわえてるドーナッツを一口、俺も齧った。


E.

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