short

□ワッフルみたいな
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一人用のベッドの上で愛を分かち合った後の微睡みの時間、他愛もない話を交わす。
身体の気怠さに負けて眠ってしまえば、次に起きた時には覚えていないような内容ばかりだけれど、それでも幸福に満ち足りた時間。
「俺たちってロミオとジュリエットみたいだよね〜」
「俺がロミオだな」
「じゃあ俺がジュリエットで〜、跡部がキャピュレット城主」
「…何かリアルだな。バルサザーは絶対ぇジャッカルだろぃ、そんで薬師は仁王」
「あーそれっぽい。ロレンスは鳳かな」
「あいつクロス付けてるしな」
クスクス笑い合って話は続く。
「でも鳳は宍戸が一番だからな〜、宍戸と俺が同時に悩んでたら絶対ぇ俺のこと見捨てそ〜」
「それ言ったら仁王に薬を貰う時点でヤバイだろぃ。仮死状態どころか即死させられそー」
「そこは上手く柳生を味方につけてぇ」
「効果バツグンだな」
いつの間にか話題はお互いの学校のカップルの話になって、本当なのかどうなのかの噂まで発展する。
「普段は宍戸の方がグイグイ引っ張ってくのに、ベッドの上では完全に鳳ペースなんだってさ」
「誰に聞いたんだよ」
「鳳から」
「何か意外だな。ああでもうちの部長たちもそうか」
「真田と幸村?」
「そうそう。あいつらって表面的には真田が攻なんだけど、精神的には完全に幸村がリードしてんだよな。自分がしたいように真田を上手く誘導する感じ」
「スゲェ」
呟いた慈郎の瞼はもう半分ほど下がっていて。
「あーおやつ食べ過ぎたかな」
ブン太お手製のワッフル。マーマレードと生クリームを添えて。
「ねーブンちゃん」
「何?」
答えるブン太の声も擦れている。
「いろんなカップルがいるけどさ」
「うん」
「やっぱり俺らが一番だよね」
「当たり前だろぃ・・・」
「ブンちゃんのしたいことが、俺のしたいことでもあるもんね」
「ん・・・」
触れるだけのキスをして、ほとんど同時に意識は沈む。
きっと今の話は覚えてないけれど、最後に思ったことは本当。


E.

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