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□ガトーショコラが焼けるまで
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休日なのに珍しくお互い部活もなくて、久々に俺ん家に来たいって言うから承諾して、来たら来たで手作りのお菓子が食いたいとか言い出して。
ほんと自由なヤツ。
まあ俺だって海原祭で料理大会製菓部門優勝者だし?
何だかんだ言ったってコイツは可愛い恋人なワケで。
やっぱ喜んだ顔が見たい!
けどそれじゃあ俺がつまんねぇ!!
ってことで妥協案。


二人で作る。
さっきまで近況話し合ったり、途中で生地を投げ付け合ったり…まあ楽しく作ってた筈なのに。
俺が目を話したのはほんの一瞬。
生地をオーブンに入れてスタートのボタンを押しただけ。
なのにもう俺が振り返った瞬間には、ジローはテーブルに突っ伏してスヤスヤ寝息を立てていやがった。
粉まみれのまんま、幸せそうな顔をして。
俺といるのに寝るなんて、良い度胸だなぁ、ジロー?
思いっきりぶん殴ってやろうと拳を振り上げた瞬間
「むにゃ・・・ブンちゃ、ん」
コイツ、夢ん中まで俺のこと考えてんのかよ。
ほんと自由なヤツ。
でも…可愛いヤツ。


拳を下ろしてジローのほっぺに付いてる生地を舐めてみる。
「甘・・・」
ココア生地の程よい苦味と甘さが舌に広がって、うん、成功。
やっぱ俺天才?
薬缶にお湯沸かして、ポットとカップとお茶の葉と・・・。
眠り王子が目覚めたら、甘い甘いティータイムの始まり。


E.

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