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□妙技・おねだり
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「ダメだ。わかんねえ」
そう言ってブン太はシャーペンを放り投げた。
「も〜、ちゃんと勉強しようよー」
「あーテニスしてぇ!」
ゴロンッと仰向けになって呟かれた一言に、ピクリと慈郎も反応してしまった。
「なー芥川。お前もテニスしたいと思わねぇ?」
ま、丸井君とテニス!!俺の憧れてた丸井君と・・・。
「うう〜。でも赤点取ったら跡部に怒られちゃうC〜。でも丸井君とテニスもしたいC」
本気で悩み始めた慈郎を見て、ブン太はニッと笑って。
ちゅ。
口の中に広がるグリーンアップルの酸味と、目の前で揺れる赤い髪。
「ま、まままままま丸井君!!」
「なぁ芥川ー、1ゲームだけ!」
「うーあー」
「勉強なら後で俺が見てやるよ」
「ホントに?」
「任せろぃ」
自分の方が先にギブアップしたにも関わらず、ブン太は自信満々に言ってのけた。
「1ゲームだけだからね。これで赤点取ったら丸井君のせいだよ〜?」
「わかってるって!テニスでも勉強でも、俺の妙技たっぷり見せてやるぜ」
「俺だって負けないもんね!」
結局俺はテニスが好きで、それ以上に丸井君が大好きで。
敵いっこないんだいつだって。


E.

(でも俺が勉強してたの数学だよ?)
(こっ国語なら教えてやるよ)

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