Thanks!

□Aの追跡
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派手な電子音を鳴らして、目の前の画面にはYOU LOSEの文字。
「くっそ、何て書いてあんだよ!」
読めはしないが、意味はわかる。自分の負けだ。
「ついてねえなー」
先日三人の鬼才に再び試合を挑もうとして、にべもなく断られた。曰く
「まだ早い」
確かに入部当時は完膚無きまでにやられたが、あれから三ヶ月、自分だって進化している。三人まとめてとは言わない、せめて一人と小手調べをしたかった。
そんな願いもあっさり流され、後は他の一年同様基礎体力作りだの球拾いだの、忌々しい。俺は他の奴らよりずっと上にいる!!
気晴らしにゲームセンターに来てみたものの、得意の格闘ゲームも見事な敗北。
いよいよ苛立ちは募り、ゲーム機を蹴飛ばそうとした瞬間。
「丸井先輩?」
赤也の座るコンピューターゲームコーナーより少し向こうの方へ、よく見知った一つ年上の先輩が全く知らない少年と手を繋ぎながら歩いて行った。
幼い子供とならともかく、同年代の男同士で手なんか繋ぐだろうか?
「面白ぇ」
さっきまでの不機嫌から一転、先輩の弱みを握るチャンスだと赤也の顔に笑みが昇る。その顔はまさしく悪魔。
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