Thanks!

□Aの追跡
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ブン太と少年はクレーンゲームの前にいた。しきりに少年が嬉しそうに話し、ブン太は神妙な顔で頷いている。
会話の内容は途切れ途切れにしか聞こえない。
「…でね、ラバーズが……」
「任せろぃ」
ラバーズって何だ?英語か?
赤也が眉間にシワを寄せている間に、二人の中で話がついたのか、おもむろにブン太が小銭を取り出しクレーンゲームを開始した。
前後左右に動いたアームは、ある位置で留まりゆっくりと人形の上に降りていく。
虫のような形をしたマスコットを惜しくもアームは掴み損ね、そのまま上昇し始める。
「あ〜」
少年が残念そうに声を漏らしたが、ブン太は涼しい顔でガムを膨らましている。
そのガムがパチンと弾けた時。
マスコットの頭についている紐の輪にアームが引っ掛かり、そのまま取り出し口まで運ばれて来た。
ポスンと人形が落ちて来る。
「どう?天才的?」
「マジマジスッゲー!!丸井君ありがとー!」
ブン太が器用なのはテニスだけではないらしい、と赤也が感心していると二人は再び手を繋いで行ってしまう。
急いで赤也も後を追った。
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