土方受け、ほか
□バレンタイン(沖土)
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部下の一番隊隊士と見回りをしていると女共が寄ってくる。
どの女の手にも綺麗にラッピングされた箱。
そして今日、何度も聞いた台詞をまた聞く。
「沖田さま、これ受け取ってください!」
俺はめんどくさいのを我慢して受け取る。
土方さんに言われてるから。
『市民の相手も仕事の内だ。真選組のイメージを上げるためのな』
初めは隊士に持たせていたが、持ち切れなくなったのでコンビニで手提げを買ってやった。
その手提げもいっぱいになった頃、2時間の見回りが終わり、やっと屯所に戻れた。
屯所の前にも女ども。繰り返される台詞。
うんざりだ。
部屋に戻っても、机にチョコの箱が積上げられていた。
イライラする。
――俺が欲しいのはこんなんじゃない。
俺が欲しいのは、唯一人からのチョコ。
長い間想っていて、こないだ、やっと付き合い始めることができた、最愛の人からのチョコ。
朝から何度か顔を合わせているが、土方さんは何も言わない。
それでも、ずっと待っていたが、
夕食を済ませ、
風呂に入り、
寝る時間になっても、
一向にくれる気配がない。
もうすぐ「今日」が終わってしまう……
痺れを切らした俺は、土方さんの部屋に向かった。