† sin3  (長篇小説)

□お姫さま(へソン)を手に入れろ 
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(2)



3ヶ月前、

エリクは今日みたいに、突然やって来た。

ちょうど、ジニと電話中だったヘソンは、

携帯を手にしたまま、玄関のドアを開けた。



H「・・・・エリク」



E「話がある」

エリクはそう言うと、ヘソンの持っている携帯を指して



E「誰?」

と聞いた。



H「えっ、ジニだけど」



E「貸して」



ヘソンは困惑した表情を、浮かべたものの、

黙ってエリクに、携帯を渡した。



E「お前の、大事なヘソンひょんは、俺がもらうよ」

エリクは、いきなりそう言ったかと思うと、携帯を切った。



H「何、言ってるんだよ」



慌ててエリクの手から、携帯を取り上げたヘソンが、

エリクを睨みつける。



H「勝手に切るなよ」



E「あぁ悪い」

悪びれた様子が、全くないエリクに 、怒る気も失せる。



H「お前、酔ってんの?」



E「酔ってないよ」



H「話って何?」



E「喉、渇いた」



H「あぁ?」

マイペースなエリクに、ヘソンは呆れる。









エリクを、リビングに通すと

H「ビールでいい?」



E「いいよ」



H「お腹は、空いてない?」



E「空いた」



H「ちょっと、待ってて」

そう言うと、ヘソンは台所で、

簡単なつまみを作って、持ってきた。



E「美味い」

あっという間に、食べ終わったかと思うと



E「早く、俺の所に、嫁にこい」

と言って、エリクが笑った。



H「何、言ってるんだ」

ヘソンも、つられて笑う。



E「本気だよ、早く俺のものになれよ」

不意にエリクが、真面目な顔で言う。



H「・・・・どういうつもりだ?」

ヘソンが、ムッとして聞く。



E「話がある、って言っただろ?それだよ」



H「お前のものになれ、ってのが?」



E「そう」



H「どうしちゃったの?お前」



E「どうもしないよ、自分に正直になろうと思って」



H「ふぅ〜ん」

ヘソンは疑うような眼差しで、エリクを見る。






エリクは最近、彼女と別れたと聞いた。

2年近く付き合って、結婚するだろう、と言われていた。





H「韓国一の、花美男のお前なら、

すぐに、新しい彼女ができるよ」

嫌みの一つも、言ってみる。



E「彼女なんかいらないよ、お前がいい」



H「お前さ〜彼女に振られたか、どうか知らないけど、

俺を、からかうのはやめろよ」



E「からかってない、本気だ」



H「本気って、俺は男だよ、

お前にそんな趣味は、無いはずだ」



E「そんな趣味はないよ、でもヘソンは別」



H「・・・・」



E「ヘソン、愛してる」



H「ふざけるなよ」



E「ふざけてない」












ヘソンは、深いため息をつく。

H「・・・・エリク、頼むから冗談は、止めろ」



E「冗談じゃないよ、ずっと愛してた」



H「ずっとってお前、彼女いただろ?」



E「彼女を、愛してたわけじゃない」



H「はあ?結婚しようと思ってたんだろ?」



E「思ってたよ、お前を諦めるために」



H「何、言ってるんだ?訳が分からないよ」



E「お前を、諦める為に、彼女と結婚しようと思ってた」



H「そんな理由で、結婚しようなんて、普通は思わないよ」

へソンが呆れた顔で言う。



E「俺は、思ったんだよ」









へソンには、エリクの言ってることが、理解できない。

エリクの真意が、どこにあるのかも、分からない。

エリクの言葉を鵜呑みにして、傷つくのは自分のほうだ。









E「へソン 愛してる」



H「エリク、お前のは一時の、気の迷いだよ」



E「気の迷いなんかじゃないよ

ずっと、愛してた」



H「・・・・それを俺に、信じろと?」



E「ずっと、お前だけ愛してた」



へソンを見つめる、エリクの視線の強さに、思わず目を逸らす









H「じゃあ3ヶ月たっても、

お前に彼女が、できなかったら、考えてやるよ」



視線を逸らせたまま、へソンが言った。



E「3ヶ月も?」



H「それだけあれば、十分だろ、彼女の一人や二人」

ヘソンが、そう言って笑った。



E「3ヶ月、経ったらまた来る、

その時は、俺のものになれよ」



H「いいよ」



エリクの話を、本気だと思えないヘソンは、

いとも簡単に、そう答えた。









エリクのことだ、すぐに新しい、彼女ができるだろう。

本人に、その気がないとしても、周りがほっとかない。

それに何より、3ヵ月もあれば、

『愛してる』

なんて、ふざけたことを言ってる

エリクの頭も、冷えるだろう

へソンは、そう思っていた。












2009/02/03[Tue]
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