† sin3 (長篇小説)
□Kiss Kiss Kiss
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hyesung side
ホテルの部屋で、シャワーを浴びて、
ほっと一息ついていると
コンコンと、ドアがノックされた。
「なんだよ、その格好は?」
ドアを開けると、そこには
浴衣を着たエリクが、子供のように
満足げな表情を、浮かべて立っていた。
「お前も着ろよ」
部屋に入ると、勝手にクローゼットの中から、
浴衣を取り出して、手渡す。
「えっ〜、やだよ
なんで、俺が着ないといけないんだよ」
「日本にいる時しか、着れないだろ 」
「そうだけど・・・・・ 」
「何事も経験だよ、ほら 」
「経験って、大げさな」
強引に押し切られ、
しぶしぶと、着ていたTシャツを脱ぎかけると
じっと見つめる、エリクの視線を感じた。
「見るなよ 」
「ケチ」
「ケチってなんだよ 」
エリクの見てる前で、着替えるのは、
恥ずかしいじゃないか
おまけに、こんなに明るい所でなんか、絶対いやだ
「これでいいか? 」
エリクが両手で、顔を覆う
「いいよ 」
エリクに背中を向けて、素早く浴衣に着替えた。
「これは?どうするんだ? 」
長いものを、エリクに渡す
「ああ、それは帯って言うらしい、こうやるんだよ。 」
エリクが腰に巻きつけ、結んでくれる。
「どう?おかしくない? 」
両手を広げて、回ってみる
「完璧、思った通り似合う」
「ホント?」
急いで鏡の前に立って見た。
こんな感じなんだ、
ちょっと、嬉しいかも、
『エリク、ありがと』
と言うのも、しゃくだから、黙ってよう
近づいてきたエリクに、抱き寄せられた。
「俺は?」
エリクが聞く
エリクは何着ても、似合うんだから、浴衣だって似合う
「かっこいい・・・・かも 」
かっこいいよ、誰よりも
本当は、そう思っているよ。
嬉しそうに笑っているエリクに
「かもって、疑問形? 」
と聞き返される
「かっこいいよ 」
きっと、世界で一番、かっこいい
エリクは嬉しそうに、笑ったままだ。
かっこいいとか、言われ慣れてるだろうに、
何が、そんなに嬉しいんだろう?
変なエリク
2009年06月06日(Sat)