† sin3  (長篇小説)

□Kiss Kiss Kiss
3ページ/4ページ




(3)






hyesung side







ホテルの部屋で、シャワーを浴びて、

ほっと一息ついていると

コンコンと、ドアがノックされた。



「なんだよ、その格好は?」



ドアを開けると、そこには

浴衣を着たエリクが、子供のように

満足げな表情を、浮かべて立っていた。



「お前も着ろよ」



部屋に入ると、勝手にクローゼットの中から、

浴衣を取り出して、手渡す。



「えっ〜、やだよ

なんで、俺が着ないといけないんだよ」



「日本にいる時しか、着れないだろ 」



「そうだけど・・・・・ 」



「何事も経験だよ、ほら 」



「経験って、大げさな」



強引に押し切られ、

しぶしぶと、着ていたTシャツを脱ぎかけると

じっと見つめる、エリクの視線を感じた。



「見るなよ 」



「ケチ」



「ケチってなんだよ 」



エリクの見てる前で、着替えるのは、

恥ずかしいじゃないか

おまけに、こんなに明るい所でなんか、絶対いやだ



「これでいいか? 」



エリクが両手で、顔を覆う



「いいよ 」



エリクに背中を向けて、素早く浴衣に着替えた。



「これは?どうするんだ? 」



長いものを、エリクに渡す



「ああ、それは帯って言うらしい、こうやるんだよ。 」



エリクが腰に巻きつけ、結んでくれる。



「どう?おかしくない? 」



両手を広げて、回ってみる



「完璧、思った通り似合う」



「ホント?」



急いで鏡の前に立って見た。

こんな感じなんだ、

ちょっと、嬉しいかも、

『エリク、ありがと』

と言うのも、しゃくだから、黙ってよう



近づいてきたエリクに、抱き寄せられた。



「俺は?」



エリクが聞く



エリクは何着ても、似合うんだから、浴衣だって似合う



「かっこいい・・・・かも 」



かっこいいよ、誰よりも



本当は、そう思っているよ。








嬉しそうに笑っているエリクに



「かもって、疑問形? 」



と聞き返される



「かっこいいよ 」



きっと、世界で一番、かっこいい







エリクは嬉しそうに、笑ったままだ。

かっこいいとか、言われ慣れてるだろうに、

何が、そんなに嬉しいんだろう?



変なエリク




















2009年06月06日(Sat)
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ