† sin3 (長篇小説)
□Kiss Kiss Kiss
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【eric side】
今日のヘソンは、いつもと違って素直だ
浴衣も着てくれたし、
「かっこいい」
とも、言ってくれた。
これは、ひょっとして・・・・・・・
そう考えて、口にした
「ヘソン、キスしろよ」
「えっ? 」
腕の中のヘソンが、驚いた顔をする
「たまには、お前からして」
ねだるように、そう言ってみる
「そんなこと、急に言われても・・・・」
「お前から、キスしてくれたことないよ」
「あるよ・・・・3回ぐらい」
「たった3回だ、俺は、数え切れないくらいしてる」
ヘソンは、俺を見つめたまま、考え込む
ヘソンらしいよな、そんなに考え込むことか?
やがて決心したように、唇をそっと重ねてきたが、
微かに触れただけで、一瞬で離れてしまった。
「ヘソン、もっと大人のキスしろよ 」
戸惑った表情を、浮かべたままのヘソンが
また考え込む
さすがにそれは、無理か、
そう思った時
さっきと同じように、ヘソンが唇を、そっと重ねると、
今度は触れるだけのキスを、何度も繰り返した。
ヘソンにとっては、これが精一杯の、
大人のキスなんだろう、
そう思うと、あまりの可愛いさに、
自然と笑みがこぼれる。
「ヘソン、舌入れろよ 」
口を開け、ヘソンを誘う。
一瞬躊躇した後、ヘソンがおずおずと舌を入れてくる。
しばらくじっとしていたが、やがてぎこちなく口内を弄り始め、
俺の舌に自分のを、絡めてきた。
ヤバい、気持ちいいかも
決して上手い、とは言えないキスだけど、
ヘソンがしてくれているだけで、そう思える。
やがて、もういいと思ったのか、ヘソンの舌が離れていく
「これでいい? 」
ヘソンが恥ずかしそうに、首を傾げて聞く。
「ダメだ、もっと、キスしろよ 」
じっと俺を見て、様子を窺っていたへソンが、
ふわりと笑うと、今度は迷うことなく、唇を寄せてくる 。
ヘソンの唇が、触れた時 、
ドンドンと音が聞こえた。
「「 ヘソンひょ〜ん 」」
ジニが大きな声で、ヘソンの名前を呼び、ドアを叩いていた。
「ジニだ 」
途端にヘソンが、俺から離れる。
ドアに行きかけた、ヘソンの腕を引っ張った。
「ほっとけよ 」
あんな風に、へソンが花のように笑って、
キスをしてくれようとするなんて
滅多にない、チャンスだったのに
「・・・・でも 」
「俺とジニ、どっちが大事? 」
「・・・・・それは」
ヘソンが、口ごもる
選べるわけないか
「じゃ、愛してるって言えよ 」
「えっ? 」
へソンが、驚いて俺を見る。
「どっちか選べないなら、それぐらい言ってもいいだろ」
へソンは、困ったように、視線を泳がせると
「・・・・あいしてる」
消え入りそうな声で言う
「聞こえないな」
「「「 あいしてるっ! 」」」
今度は、大きな声で、早口で言うと
俺の手を振りほどいて、ドアに向かって、一目散に走って行った。
可愛いよな、あんなに真赤になって
へソンの後ろ姿を、目で追いながら
いいところで、邪魔をしてくれた
へソンの可愛い赤ちゃん鳥に
『ジニ〜後で覚えとけ』
そう、ひとりごちた。
2009年06月05日(Fri)