† sin2 (短篇小説)

□泣かない月を抱いて 【痛みさえも】
2ページ/2ページ



(eric side)






「こっちも、開けるか 」

ヘソンの耳朶を噛んで、俺がそう言った時、

ヘソンが、ビクッと身を竦ませた。












へソンがぎゅっと目を瞑り、唇を噛み締める。



「怖いか?」



「怖くない 」



怖くないと言う、その唇は、小さく震えていた。






俺は、何をしたいのか?

へソンを、怖がらせて傷つけて・・・・・






針の先を、耳に当てたまま、動かない俺を

じっと見つめていた、ヘソンの瞳から、涙が零れ落ちた。







「いいよ、エリク、早く開けて」






「嫌だ、って言えよへソン」






「エリクになら、何をされてもいい、って言っただろ」




そう言ってへソンが、しがみついてくる。





何をされてもいい、なんて言うな、




でないとお前を






傷つけてしまう

泣かせてしまう

大切なのに

愛してるのに・・・・・






俺にしがみついている、ヘソンの背中をそっと撫でた。







「エリク、愛してるよ 」

めったに言わない、ヘソンの言葉








へソンを見つめて、笑った。







「泣くな、エリク 」

ヘソンが言う。






「泣いているのは、お前だろ」






「俺の全部をお前にやる、だからそんな風に泣くな」






照れ屋なヘソンが、精一杯言葉を尽くす。

俺の不安な気持ちを、消しさろうとするかのように






「エリク、愛してる 」




「ずっと、愛してる 」






綺麗なへソン


穢れをしらないへソン







ヘソンに焦がれて

狂ってしまいそうだ・・・・























2009年05月04日(Mon)
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ