† sin2 (短篇小説)
□泣かない月を抱いて 【痛みさえも】
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(eric side)
「こっちも、開けるか 」
ヘソンの耳朶を噛んで、俺がそう言った時、
ヘソンが、ビクッと身を竦ませた。
へソンがぎゅっと目を瞑り、唇を噛み締める。
「怖いか?」
「怖くない 」
怖くないと言う、その唇は、小さく震えていた。
俺は、何をしたいのか?
へソンを、怖がらせて傷つけて・・・・・
針の先を、耳に当てたまま、動かない俺を
じっと見つめていた、ヘソンの瞳から、涙が零れ落ちた。
「いいよ、エリク、早く開けて」
「嫌だ、って言えよへソン」
「エリクになら、何をされてもいい、って言っただろ」
そう言ってへソンが、しがみついてくる。
何をされてもいい、なんて言うな、
でないとお前を
傷つけてしまう
泣かせてしまう
大切なのに
愛してるのに・・・・・
俺にしがみついている、ヘソンの背中をそっと撫でた。
「エリク、愛してるよ 」
めったに言わない、ヘソンの言葉
へソンを見つめて、笑った。
「泣くな、エリク 」
ヘソンが言う。
「泣いているのは、お前だろ」
「俺の全部をお前にやる、だからそんな風に泣くな」
照れ屋なヘソンが、精一杯言葉を尽くす。
俺の不安な気持ちを、消しさろうとするかのように
「エリク、愛してる 」
「ずっと、愛してる 」
綺麗なへソン
穢れをしらないへソン
ヘソンに焦がれて
狂ってしまいそうだ・・・・
2009年05月04日(Mon)