† sin3  (長篇小説)

□お姫さま(へソン)を手に入れろ 
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(1)




夜更けに、インターホンの音がする。



[こんな時間に、誰だよ]



そう思いながら、ドアを開けたへソンは、

ドアの向こうに立っている、エリクを見て驚いた。



H「来るなら先に、電話くらいしろよ」

呆れたように言いながらも、エリクをリビングへ招き入れた。



E「ちゃんとリサーチ済みだ」

エリクが、飄々とした様子で答える。



H「相変わらずだな」



E「返事、聞かせろ」

前置きもなく、唐突にエリクが言った。



H「返事って?」



E「あの時の」



H「あの時?」

そう言ったきり、へソンが考え込む。













H「・ ・ ・ あっ」

ヘソンが思い出したように、声を上げた。



E「返事は?」



H「・・・・・・お前、あの時は、酔ってたし、

・・・・・・冗談だと、思ってた」



E「酔ってもいなかったし、冗談でもないよ」



H「・ ・ ・ ・」



E「3ヶ月待った」

いつになく真面目な顔で、エリクが言った。



H「・ ・ ・ 」



E「ヘソン」



H「・ ・ ・ エリク、

3ヶ月とかって、時間の問題じゃないんだ。

1年、2年かかるかもしれない。

でも必ず、お前に似合った女性が、現れるよ。」



E「俺はお前を愛してる。他の女とか、考えられない。」



H「お前は、俺のこと愛してないよ。」



E「どうして?」



H「俺のこと嫌いだった、だろ?」



E「嫌いだったことなんか、一度もない。」



H「そんなはずない。お前は俺のこと嫌ってた。

嫌いだった人間を、そんなに簡単に、愛せるものなのか?」



E「俺はずっと、お前を愛していたよ」



H「俺が気づいてない、って思ってたかも知れないけど、

お前は、俺のこと嫌ってたよ」

ヘソンは、そう言って自嘲気味に笑った。



E「何、言ってるんだ?

嫌ってたのは、お前のほうだろ?」



H「・ ・ ・ 」

ヘソンは、俯いて黙り込んだ。



E「お前が、俺のこと、嫌ってたんだろ」





ヘソンは、ただ唇をきつく噛み締める。



E「お前は、ジニのことが、大好きだもんな。

ひょっとして、あいつと寝てんの?」



H「えっ?」



E「いつも一緒に、寝てるもんな、抱かれてんの?」



ヘソンに、自分の気持ちが、伝わらないことに、

イラついた、エリクの口から、出た言葉だった。

ヘソンが、驚いて目を見張る。



H「・・・・・エリク、悪いけど帰って」

そう言ったその顔は、今にも泣き出しそうだった。



言い過ぎたかと思ったが、ジニとのことは、

ずっと、心のどこかで、引っかかっていた事だ、

今日じゃなくても、いつか聞いただろう。



エリクは、何も言わずに出て行った。



ヘソンはその場に、力が抜けたように座り込む。

エリクに、そんな風に思われていた事が、ショックだった。









2009/02/02[Mon]
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