† sin3  (長篇小説)

□Kiss Kiss Kiss
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(1)





【eric side】






いつもは気にも留めない、

クローゼットに入っていた、それを手に取ると、

ドンワンの部屋へ向かった。



「何、エリ?」



そう言うドンワンに



「これ、どうやって着るんだ?」



「浴衣?着たいのか? 」



「着たい」



「なんでまた? 」



ドンワンが、不思議そうな顔で聞く 。



「俺って、サムライだから 」



ステージ用の髪型が、サムライみたいだと

コンサートの最中、ミヌに

「サムライ、サムライ」

と、連呼された。



「サムライね 」



ドンワンが笑う。



「サムライといえば、着物だ」



「なるほど」



ドンワンが、頷いた



「というわけで、着せてくれ 」



「なんで、俺が?」



「ドンワンは、日本通だからな」



「そりゃ、着たことはあるけど」








ドンワンに着せてもらった、浴衣を着た帰りに

ヘソンの部屋の前を通った

通り過ぎた後、ふと閃いた。



『そうだ!!ヘソンにも着せよう 』



浴衣を着たヘソンは、きっと可愛いだろうな

想像したら、顔がニヤけてきた。

へソンの部屋をノックした。












「なんだよ、その格好は?」



ドア開けて、俺を見た途端、へソンがそう言った。



シャワーを浴びたへソンは、普段通りTシャツを着ていた。



「お前も着ろよ」



へソンの部屋のクローゼットから、浴衣を取りだしへソンに渡す。



「えっ〜やだよ

なんで、俺が着ないといけないんだよ」



「日本にいる時しか、着れないだろ 」



「そうだけど・・・・ 」



「何事も経験だよ、ほら 」



「経験って、大げさな 」



着替えようとするへソンを、見ていると



「見るなよ 」



へソンが言った。



へソンは俺の前で、肌を晒すのを嫌がる。

もう散々見てるのに、今更だってことに気付かない。



「ケチ 」



「ケチってなんだよ」



へソンが、唇をとがらせて、文句を言う。

仕方ないな

両手で顔を覆う。



「これでいいか?」



「いいよ」



顔を覆った両手の、指の隙間からヘソンを見ると

背中を向けて、慌てて着替えている

今時、女だって、そんなに恥ずかしがらないって、

ヘソンは、どこまで可愛いんだかわからない。

何をやっても、可愛いく見えるのは、惚れた欲目なのか?






「これは?どうするんだ?」



へソンが、帯を持って聞く



「ああ、それは帯って言うらしい、こうやるんだよ」



ドンワンに、してもらったように

ヘソンの腰に、帯を巻きつけ、結んでやる



「どう? おかしくない?」



くるんと一回転して、見せるさまも可愛い



「完璧、思った通り似合う」



可愛いというより、綺麗だ

思わず見惚れる



「ホント? 」



ヘソンが鏡の前に立って、自分の姿を写す

気にいったのか、満面の笑みを浮かべて、俺を見る。



かわい過ぎるって



ヘソンに近づいて、腰を抱き寄せる。



「俺は?」



見上げたヘソンが、しばらく考えたあと



「かっこいい・・・・かも 」



小さな声で、ボソッと言う

一瞬、耳を疑った

ヘソンがそう言うのを、初めて聞くような気がする。



ヤバい嬉しい



「かもって、疑問形? 」



「かっこいいよ 」



やっぱり小さな声だか、へソンがそう言った。









2009年06月04日(Thu)
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