† sin1 (短篇小説)
□言の葉
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エリクの機嫌が悪い
出来上がった、新しいアルバムを、
誰よりも早く見て欲しくて、真っ先に渡した。
ジャケット写真を見ていた、エリクの顔が、
険しくなったかと思うと、
その後、急に機嫌が悪くなった。
「エリク」
「なんだ? 」
ムスッとした顔で、返事を返された。
「なんで怒ってるの? 」
「怒ってない」
「・・・・・・」
やっぱり怒ってる
なんだか、悲しくなってきた
頑張って作ったのに・・・・
「今日は帰る、ちゃんと聴いてね、エリク 」
帰りかけた腕を、エリクに掴まれ、抱きしめられる。
エリクの背中に、腕を回す間もなく、
エリクの唇を、受ける羽目になった
眩暈がするような、激しいキスをされる。
見上げた視線が、エリクの、切なそうな表情を捕らえる
「お前、綺麗過ぎ 」
怒ったように、そう言われた
「そんなこと、言われても・・・・」
「これ以上、綺麗になるな 」
今度は、懇願するように言われる
「う・・・・・ん」
だって、俺を抱く度に、エリクが言うから
可愛いヘソン
綺麗なヘソン
呪文のように、そう囁くから
コンプレックスの塊だった、
女のようなこの顔を、
エリクが、好きだって、
言ってくれたから・・・・
エリクに、ずっと好きでいて欲しいから
嫌いだった言葉も、
エリクにだけは、言ってほしいから
可愛いヘソン
綺麗なヘソン
呪文のように囁いて
ずっと、抱いていて
2009/02/18