† sin2 (短篇小説)

□ Halcion ハルシオン 【棘(いばら)の森】 
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「ヘソンひょん、これ」

マンションに、泊まりに来た、ヘソンひょんに、手渡す。






「これ、何?」





「これ飲んで、少し眠ろう」











エリクひょんの、熱愛宣言の日

それを聞いたへソンひょんは、

何も言わずに、ただ黙って、泣き続けた。















彼女の存在を認めた、エリクひょん。











愛する人に出逢えて、幸せと言った、エリクひょん。









世間の評価は、一部の熱狂的なファンを除いて、

潔い、と概ね好意的だった。














その日以来、眠れないでいる、へソンひょん。





















歌番組、バラエティー、コンサート

そのどれも、笑顔でこなす、ヘソンひょん。








いつものように、

いつも以上に、笑っていた。


































「これ、何?」

ヘソンひょんが、また聞く。










「睡眠薬」








「どうしたんだ?これ」









「・・・・・・ちょっと」

訳ありで、手に入れた、とは言えない。














「Halcion ハルシオン」















「何?」
















「薬の名前、ここに印刷されてる」

ヘソンひょんが、指でなぞる。













「そうだね」


















「ハルシオンと、

グレープフルーツジュースを、一緒に飲むと、

いっちゃえるんだって」













「ああ、眠剤遊びの、王道だね」

ヘソンひょんが、どうして、そんなこと知ってるんだ?



















「いっちゃうって、どんな感じなのかな?」


「ダメだよ。」













「わかってる。やらないよ」

ヘソンひょんが、笑う。

















ベッドの中、ヘソンひょんを、抱きしめる。
















ただでさえ細い体は、ますます痩せてしまって、

今にも、消えてしまいそうに、儚い。
















「眠れそう?」









「・・・・・うん」


















ヘソンひょんの、背中を撫でる。














「明日、目が覚めなければいいのに・・・・・・」

















眠りに堕ちる前に、ヘソンひょんが、呟いた。


















目が覚めたら、












ヘソンひょんは、エリクひょんの、

幸せな顔を、見ないと、いけない。
















笑いたくもないのに、




















笑顔でいないと、いけない。



















泣くことすらも、できなくなってしまった、ヘソンひょん。














ヘソンひょんを、抱きしめる腕に力をこめる。
















消えてしまわないように・・・・・・










2009年01月14日(Wed)

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