† sin3  (長篇小説)

□お姫さま(へソン)を手に入れろ 
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(5)





M「とりあえず座れ、二人とも」



立ったまま、言い争いをしていた二人を、ソファーに座らせる。



M「ジニ、エリクはずっとヘソンが、好きだったんだ

それは本当だ」



J「彼女は?結婚するって、言ってたじゃないか」



M「あれは、ヘソンを諦める為に、

ヘソンじゃなければ、誰でも良かったんだよ」



J「本当なの?エリひょん」



E「ああ」



エリクが、不貞腐れて答える。



J「・・・」



E「お前はヘソンと、本当はどうなんだ?」



J「本当に、そんなんじゃないよ」



E「・・・」



M「合宿所を、抜け出してたのは?」



エリクの代わりに、ミヌが気になっていたことを聞く。



J「それ言わないと、ダメなの?」



E「言えないのか?」



J「昔のことだよ」



M「ジニ」



J「・・・・」



M「ジニ、言えないことか?」






二人のひょんに、問い詰められ、

渋々とジニが、重い口を開く





J「あれは、マネージャーっていうか、社長の命令で、

テレビ局の関係者に、つき合わされてたんだ」



E「どういうことだ?」



J「ようするに、接待みたいなことだよ、

テレビ局サイドの機嫌を、取っておけば、

シナを使ってもらえるからって」



M「・・・」



J「ヘソンひょん、

そう言った誘いが多くて、嫌がってたけど、

社長命令だから、仕方なかったんだ

社長は何かにつけて、シナを解散させるって、

ヘソンひょんを脅すし、ヘソンひょんは、

シナを守る為に、断れなかったんだ」





韓国の芸能界は

テレビ局の力が、圧倒的に強い、

芸能人の地位は、

所属する事務所よりも、更に低く、

奴隷の様に、働かされることも、しばしばだ。

そんな事務所の命令に、

へソンが、逆らえるはずもなかった。



シナを、守る為に一人、生贄となったへソン



M「・・・」



J「あの時は、大変だったんだ、へソンひょん

無理やりホテルに、連れ込まれたり」



E「えっ?」



J「未遂だよ、そんなことさせない為に、

俺がいつも、そばについてたんだから」



E「・・・そうか」



エリクが、安心したように言う。



J「危ない目には、それこそたくさんあったよ

でも事務所は、たとえなにかあったとしても、

女じゃないから、子供ができることはないって」



M「嘘だろ・・・」



J「ホントだよ」



E「・・・・・」



J「手を握られたり、肩を抱かれたり

時には、抱きつかれたりすることが、

ヘソンひょんにとって、どれほど、

苦痛だったかわかる?」





スキンシップが、苦手なヘソン

やっとメンバーに、触れられるのに、

慣れてきたばかりだった。





J「ヘソンひょん、合宿所に帰ってから、いつも泣いてた

だから、俺がいつも、抱きしめて、寝てたんだ

そうしないと、ヘソンひょん、壊れそうだったから」



M「・・・どうして、黙ってたんだ」



J「ヘソンひょんが、誰にも言うなって」



M「・・・」



J「大人のマネージャーでさえも、

社長には逆らえなかったんだ」



M「そうだけど・・・」



J「メンバーに話したところで、何ができるって、

心配かけるだけだから、黙ってろって」



E「・・・」



J「俺はいつも思ってたよ

どうして、ヘソンひょんばかり、

そんな思いをしなきゃいけないのかって」



E「・・・何もできなかったとしても、話して欲しかった」



J「俺は、何度も話そうとしたよ

でも、ヘソンひょんが、

エリひょんにだけは、絶対言うなって、

あいつは、俺のこと嫌ってるから、

これ以上嫌われたくないって」



E「だから、どうして俺が嫌ってたって、思ってるんだ」



J「それは、俺にも解らないよ

でも、ヘソンひょんは、

ずっとエリひょんに、嫌われてるって思ってた

今でも、そう思ってるかも」



E「・・・・・・」











「エリひょん本当に、ヘソンひょんのこと愛してるの?」



E「ああ」



J「・・・」



E「愛してるよ」



J「ヘソンひょん、

エリひょんが、彼女と結婚するって言うから」



E「だから、それは・・・」



J「ヘソンひょん、ずっと泣いてたよ」



E「・・・」













J「エリひょんが、本気ならいいよ」



E「ジニ、悪かったな」



J「俺より、ヘソンひょんに、謝ってあげて、きっと泣いてる」



E「ヘソンのところに、行ってくる」



エリクはそう言うと、部屋を飛び出して行った。









2009/02/06[Fri]
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