† sin3  (長篇小説)

□お姫さま(へソン)を手に入れろ 
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(4)








ピンポーン



M「誰か来た、ちょっと待ってて」



ミヌはそう言うと、急いで玄関へと向かう。



M「エリ、お前、来るなら電話くらいしろよ」



E「あぁ、悪い」



M「で、どうだった?って聞くまでもないか」



ミヌは覇気のないエリクを見て、そう言った。



E「はなから、俺の言うこと、信じてくれない」



M「そりゃ、そうだろうね」



E「おまけに、俺があいつのこと、嫌ってたって思ってる」



M「お前がヘソンを?反対じゃないの?」



E「俺が、あいつを」



M「知らなかったな、ヘソンがそんな風に、思ってたって」



E「・・・」






リビングに入って、エリクは今一番、

会いたくない人間に、会う羽目になった。



J「エリひょん、久しぶり」



ジニが、屈託のない笑顔を向ける。



E「あぁ」



エリクは、無愛想に答えた。



M「なに、ジニに、八つ当たりしてんだよ」



ミヌが、エリクをたしなめる。



J「何か、あった?」



M「何でもないよ、機嫌が悪いだけ」



そう言って、ミヌがごまかす。



エリクは、冷ややかな眼差しを、ジニに向けると、



E「お前、ヘソンと寝てんの?」



と低い声で聞いた。



一瞬、何を聞かれたか、理解出来なかったジニは、

キョトンとした顔で、エリクを見た。



E「抱いてんの?」



エリクは、言葉を変えて、聞き直す。



M「エリ、止めろ」



ミヌが慌ててエリクを、止める。



E「お前も、気になってることだろ?」



エリクは、ミヌに言った。



M「そんなこと・・・」



E「ジニとヘソンは、本当に、出来てんじゃないかってさ」



M「エリ・・・・」



明らかにミヌは、動揺していた。



J「俺とヘソンひょんは、そんなんじゃないよ」



E「さっき、ヘソンにも聞いたけど、否定しなかったよ、

肯定も、しなかったけどな」



J「嘘だろ、ヘソンひょんに、聞いたの?」



E「聞いたよ」



J「エリひょん、ひどいよ」



ジニは泣きそうな顔で、

エリクに言うと立ち上がって、出て行こうとした。



M「ジニ、待てよ」



ミヌが、ジニの手を掴んだ。



J「行かなきゃ、ヘソンひょん、泣いてる」



ミヌの手を、振り解こうとしたジニに



E「お前ら、合宿所にいた頃から、おかしかったじゃねぇか」



エリクが、そう言ってジニを、睨みつけた。



J「なんのことだよ」



ジニも、言葉を荒げて、聞き返す。



E「二人で、しょっちゅう夜中に、帰ってきてたじゃねぇか」



J「・・・あれは」



ジニが口ごもる。



E「その後お前は、朝までヘソンの部屋に、居たじゃねぇか」



J「・・・」



E「俺やミヌみたいに、女と遊んでたってことか?」



J「・・・」



E「違うだろ、二人で何やってたんだよ」



J「・・・」



E「言えないだろ、お前らができてないって、思うほうがおかしいだろ」



J「今さらなんだよ、どうして、ヘソンひょんに構うんだよ」



E「愛してるからに、決まってんだろ」



J「そんなこと言われて、誰が信じるんだよ

ヘソンひょんが、どんな思いでエリひょんのこと、

諦めたと思ってるんだよ」



E「・・・なんの話だ?」



J「ヘソンひょんは、

ずっとエリひょんが、好きだったんだよ

エリひょんは違うだろ、女と遊び歩いて、

結婚しようって、彼女までいたじゃないか」



E「あれは、違う」



J「なにが違うんだよ、

ヘソンひょんは、泣いて泣いて、

やっとの思いで、エリひょんを諦めたんだ、

エリひょんの気まぐれで、

ヘソンひょんを、振り回すなよ」



E「気まぐれじゃない、ずっと愛してた」



J「誰が信じるんだよ、そんなこと」



ジニが、エリクを睨みつける。



E「お前だって、ヘソンと抜け出して、何やってたんだよ」



M「二人とも止めろ」



ミヌが、興奮して大声を出す、二人の間に割って入る。



M「落ち着けよ、二人とも」












2009/02/05
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