短編

□ともに歩める日々が
1ページ/1ページ



「「あけましておめでとうございます」」


向かい合って丁寧に指をつき、新年の挨拶をする。

時刻は朝の6時。まだ外は暗い。
昨晩は、隊長副隊長以下仲の良い飲み仲間(いつものメンバー)と深夜まで飲んで騒いで年越しを祝ったのに、二人ともきっちり着物を着込み、用意を整えている。

すっきりした表情をしてるのは自分達が酒豪と呼べるほど酒が強いからにほかならない。


「今年もよろしくね」

「こちらこそよろしく」



この挨拶も、こうやって二人で正月を祝うのも当たり前になったことが嬉しいと思う。

多分分乱菊もそう思ったのだろう、目が合って笑みが零れた。




「さ、そろそろ行こうか」

「そうね」



羽織りを羽織って外へ出る。
ゆっくり手を繋ぎ歩きながら、双極の丘に向かった。

瀞霊挺は高い建物も沢山あるから、なかなか良い位置を捜すのに苦労したけど、一度見つけてしまえばそこ以外考えられなかった。


丘に登る階段を上がっていくと段々と辺りがうっすらと明るくなってきた。

今日は雲がうっすらかかり、それでも青空が覗く晴れであった。

この感じだと雲の隙間から漏れる光がとても美しくみえるだろう。


乱菊と交わす言葉は少ない。
だけど。
冬の寒さは身を芯まで冷やす。
だけど。


この穏やかさは胸に暖かさをいくらでも運んでくれる。


「今年は雲が掛かっているわね」

「去年は雪だったよな。二人で滑って転んで大変だった」

「一昨年はこんな晴れみたことないっていうくらい晴れてたわ。確か恋次と修兵も一緒に見たいって聞かなくて、渋々連れてってやったわ」

「その前の年はオレが寝坊して階段で日の出だった」

「そうだったわね」

「その前の年は……」



「ふふ、去年もこうやって思い出した」

「来年は今のーーー、今年のが追加されてるな」

「そうね」

「ずっとずっとこうやって積み重ねていきたいって思う」

「そうね…あたしもそう思ってる。そう思ってくれてありがとう」









ともに歩める日々が
(これからもずっと続きますように)












ーーー
初日の出ネタ☆
皆様明けましておめでとうございます!!
今年もよろしくお願いしますm(__)m

12.0101 桜井ゆうと

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ