B L E A C H series
□シチ
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「おはよーございます」
挨拶しつつ執務室に入れば、だいたいの隊士が揃って、掃除や自分の今日の仕事を確認している。
時計に目をやると、出勤時間ギリギリだった。
自分の机につき、目の前に積み上げられた書類を見上げた。
(あ、昨日書類処理する余裕なかったからなぁ)
嬉しそうな十三番隊の皆と海燕さんの顔を思い出して、自然と顔も緩む。
わりと上機嫌で書類処理に取りかかった。
side 阿近
「…………」
副局長に頼まれて作った物を運ぶ途中であの人を見掛けた。
昨日初めて見た余裕のない顔なんて幻だったんじゃないかと思うくらい、いつも通りな表情をしていた。
見ていると、こっちに気付く。
「あ、阿近君だ」
手招きされて怪訝な顔をしていたら、それを理解してか、彼女から近付いてきた。
「はい、これお裾分け」
そう言って渡してきたのは袋に入ったおかきだった。
「甘いのよりしょっぱいもの、好きそうだから、こっち」
彼女の手には飴も握られていた。確かに甘い飴よりは塩味のおかきの方がいいが。別にいらない。
何故自分に渡すのか。それより、昨日何かあったんじゃないのかーーー?
色んな事が疑問に思えたけど、どう言えばいいのか、どう聞けばいいのかもわからなくて。
それを聞きたいと思った自分も謎で。
そうこうぼんやり考えているうちに彼女は行ってしまった。
多くを語れない少年と語らない彼女
◇◇◇
阿近のターン。
まだ距離感こんな感じ。
性格的なものが大きいか。