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□ゴ
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真夜中と朝方、どちらと呼べばいいかわからないような時間。

明日の仕事を考えれば早く寝付くべき時間だけど、昨日非番でいつもより寝たせいか眠くはなくて。睡眠はどうでもよく感じた。


皆寝静まり、辺りは静寂に満ちている。時折吹く風は冷たく髪を揺らす。さわさわと木葉が揺らめき、音が耳に届いて心地よい。
冬というこの季節は、結構好きだと思う。


懐に手を入れて煙草を取り出した。小さく加減した鬼道でいつものように火をつけて、そんなどうでもよい事を考えていると、ひとつの気配を感じた。かなりの時間動かず、こちらを見続けている。
無視できない程の時間。思わず声をかけてしまった。


「そんなに見られたら穴空くな」

「くくっ、ばれてもた。…こんな時間に自分何してるん?」

「特に何も。しいて言うなら一服?」

「へぇ。それ、何なん」

「煙草っていう現世の…嗜好品。火を付けて煙吸うモノ」


へぇ、と彼は興味あるのかないのかわからない反応をする。背後の陰から出てきた彼を一瞥すれば、霊圧だけみれば上位席官クラス。
雰囲気だって、無邪気の裏に隠せていない、ひやりとした空気を纏っている。


だけど小さな体格だけみれば子供だった。その差にどういう反応をすればいいか少し迷う。迷った末に子供と扱う事に決めた。


「…どこの隊?」

「三番」

「早く帰りな。真夜中だよ」

「いやや」

「どうして」

「散歩の途中におもろいもん見つけてん」

「…ふーん」


彼はこっちを見続けると、おもむろに近付き、ぎりぎり視界に入るやや斜め後に座る。
だけど自分には突然現れた子供に愛想よくする理由もなく、これ以上構う気もない。

ただ、彼から香る僅かな血の匂いだけが気になった。


「よう此処におんの?」

「自分の部屋の屋根だから。たまに此処で煙草吸ってる」

「ふーん」



結局彼はその会話を最後に、朝日が昇る前に瞬歩で消えた。
「また来るわ」と言い残して。


(変な子)






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