Novel

□戦場に、王。
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 どんなに言葉を飾っても。所詮、玉座など数限りない骸の上に置かれたもの。王はヒトゴロシが生業。
(殺さねば私が殺され誰かが殺される)



 戦場に、王。



 せめてもっと後方の陣で、と。

 その進言は退けざるをえない。味方にも敵にも私の顔を晒す必要がある。最前線で中央に立っていなければならない。

 お前達の王はここにいる。私も生死を共にする。珠の命。無碍にはするな。なれど、守るものの為にはやらねばならぬこともある。

 私がお前達をみている。どれほど惨い様でも。刹那さえ目を逸らさず。お前達と共にいる。


 そう、示さなければならない。


 相対した敵よ。私はここだ。お前達の標的はここだ。他の珠は散らすな。ただ私を狙え。


 そう、示さなければならない。



 ああ、私の叫びは届いているのだろうか。




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