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□バイオハザードRE:4
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第1回「さよならワンちゃん」
(2023/3/25)

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(※難易度STANDARDで開始)


やけに薄暗いパトカーの車内──前世(オリジナル版バイオハザード4)の記憶を持ったレオンは、違和感を覚えながら後部座席で窓の外を眺めていた。
お馴染みの車内BGM……軽快なギターメロディは流れているものの、ららーららーらーらーら♪という陽気なボーカルが聞こえてこない。

(外、こんなに暗かったか……?)

同乗警官から「テルミーヤンキー?」などと皮肉を吐かれながらも、レオンは嫌な予感がして上の空であった。
そして用を足すために車外に出た助手席の警官が戻って来ず、違和感が強まる。

(前世では、その辺で済ませてすぐに戻って来たはずだが……?)

運転手警官の「駐禁取られたくない」という台詞はそのままだったが、妙な胸騒ぎがした。

(まさか……前世と違うことが起きようとしているのか?)

光源が無ければ足元すら見えない、闇に包まれた林道が恐怖心を煽る。
なかなか戻ってこない同乗警官を探すためにパトカーを降りたレオンは、せめてナイフの素振りでもしておくかと、得物を構えようとした。


……しかし、できなかった。
(※ボタン反応無し)


(──体が言うことを聞かない!?)

レオンは理不尽な金縛りのためにウォーミングアップすらできず、心細さを感じながら猟師小屋を訪れた。
すると前世では最初背中を向けていたはずの第一村人が、真正面からレオンを見据えていた。

「……あー、目が充血してますよ……?」

思ったより怖い見た目の第一村人に、つい口を滑らせたレオン。
しかも床に転がっている血まみれの警察手帳に気が動転してしまい、レオンは揉み合いの末に全力の蹴りをオッサンにお見舞いしてしまった。

「ウラァッ!!」

──バキャッ!

オッサンの首があらぬ方向にねじ曲がり、支えを失ったように地面に倒れる。
完全に首の骨が折れた遺体としばらく見つめ合い、レオンはさらに気が動転した。

(う、嘘だろ……前世だとここまでグロくなかったぞ!)

しかも以前は2階からすぐ脱出できたはずなのに、至るところが施錠されてるせいで思ったようにいかない。
結局地下室などを探索させられ、村人と交戦を繰り返してようやく飛び降りダイブで脱出することができた。

(頭を撃っても蹴りを入れられない時があるのは何なんだ……)

前世との違いに戸惑うレオン。
それでもよろよろと先に進むと、更なる恐怖が待ち受けていた。

待ち伏せしていた村人をレオンがヘッドショットで吹っ飛ばすと、地面に倒れた村人が突然痙攣し始めたのだ。
そして操り人形のような不自然な動きで起き上がると、猛然とレオンに駆け寄ってきた。
その速度は、まるで生きていると錯覚する程である。

「こ、こんなの聞いてないぞ!」

掴みかかられたレオンは、反射的に相手の首にナイフを刺していた。
神経系が切断されたのか、ようやく村人の動きが止まって倒れ込む。
生き延びることはできたものの、レオンがナイフを握る手は恐怖に震えていた。
(※攻撃ボタンで痙攣中に追い討ちができるのだが、表示が一瞬過ぎてよく見えず立ち上がらせてしまった)

しかし記憶によれば、そろそろ癒しポイントがあるはずである。
レオンはアニマルセラピーを期待しながら先に進み、そして──絶望した。


トラバサミにかかった犬が、血まみれの姿で死んでいたのである!!


「う、嘘だろ!? あのワンちゃんがもう死んでるなんて……!! 俺は何を心の支えにしてエルヒガンテと戦えばいいんだ!!」

レオンは膝から崩れ落ち、天を仰いで号泣した。
この時点でメンタルはズタボロである。

そして村中央の広場で、レオンのメンタルがさらに破壊されることになる。

まず、広場に入ってすぐ、左側の小道にいるおばさんにスニークキルを決めたところまでは調子が良かった。

(よ、よし! 後は見張り塔で籠城だな!)

もともとチェーンソー男を倒そうなどという気概は無いし、一発で生き延びられれば御の字である。

(ナイフの耐久力だけが気がかりだが……まずはやってみるしかない!)

まっすぐ見張り塔に登ったレオンは、久しぶりに指揮者状態でハシゴハメを始めた。


──そして3人ほど叩き落としたところで、ナイフがぶっ壊れた。


「そんな……!? 切れ味が落ちるんじゃなく、根本から折れるだと!?」

ナイフハメという最終兵器を奪われ、今度はハンドガンによるハシゴハメを試みるレオン。
そんな時、更なる悲劇が襲ってきた。


見張り塔二階の床が抜けたのである!!


「うわぁあっ!?」

脱兎のように逃げ出すレオン。
もうなりふりかまっている場合ではない。

(と、とにかく時間を稼げば……! アイツらは鐘の音と共に退却するはず!)

走り続けるしかない──脳内で運動会のテーマが鳴り響き始めた、その時である。


ブィン! ブィン! ブィイイイン!!!


喧騒の中でもよく聞こえる駆動音を響かせながら現れたのは、ズタ袋を被ったチェーンソー男だった!

「ショットガンの民家に入らない限り、コイツは出て来ないはずじゃ!!?」

前世のトラウマがぶわっと甦り、動悸が止まらなくなるレオン。
(※プレイ時にリアルで「聞いてない聞いてない聞いてない!!」と叫びました)

「こんなことなら最初からショットガンを取りに行けば良かった……!」

だが、悔やんでも時は巻き戻らない。
レオンは素手のおばさんにぶん殴られたり、農具の一撃を背中に食らったりしつつ、必死に逃げ回った。
しかし精神的に限界のレオンを、更なる恐怖体験が待ち受けていた。


燃え盛る牛が広場の中央に突っ込んできたのである!


「どうなってんだこの村は!?」

もうダメかもしれない……完全にレオンの心が折れた瞬間、救いの鐘の音が鳴り響いた。
取り憑かれたような表情で立ち去る村人達には、闘志は微塵も残っていない。

『……レオン、調子はどう?』

久しぶりにハニガンから通信が入り、レオンは思わず弱音を漏らした。

「作戦続行は無理だ。帰投を要望する。村の出口まで誘導してくれ」

『残念だけど、アシュリーの手がかりがある湖畔まで誘導するのが私の仕事なの』

「……だろうな。泣けるぜ」

自暴自棄な笑みを浮かべて通信を切ったレオンは、広場の鶏卵や民家のショットガンを回収し、農場へと足を進めたのだった。


農場では見覚えのある青いメダルが複数ぶら下がっており、レオンは怪訝な顔で思案した。

(パニッシャーがもらえるアレか……? それにしては必要枚数が少ないような……)

全部で5枚あるようだが、前世のパニッシャー必ず貰えるキャンペーンでは10枚壊す必要があった。
今回はハンドガンの弾数に余裕が無いため、大した景品が出ないなら節約していきたいところである。

(牛がいるのは前世と同じだな……リアル志向だけに後ろを通ると蹴られるかと思ったが、なかなか大人しいじゃないか)

優しい瞳の牛や、ムチムチした豚に癒されながら散策を続けていると、レオンは青い貼り紙を発見した。

『忌まわしい教団のシンボルを破壊して欲しい(報酬:スピネル)』

……そう、青いメダルの破壊報酬はパニッシャーではなくスピネルだったのである!
前世でかなりの守銭奴だったレオンは、とりあえずメダルを全て破壊してみた。
しかし依頼主がどのように報酬を渡してくれるのかわからない以上、モヤモヤとした気持ちが晴れないのだった。


散策を続けるレオンは、小型の風車の羽に何かがぶら下がっているのを発見した。
しかし風車の真下には肥溜めがあり、下手に撃つのは危険な状態である。
前世の肥溜めではつっかえ棒を撃って蓋をすることでドボンを防げたが、今回の肥溜めはそもそも蓋が存在していない。

(やはり勝手が違うな……)

レオンは慎重を期すため、ひとまずその場所を素通りした。
良いアイデアが浮かんだら、後で戻ってくるつもりなのである。

そしてさらに奥へと進むと、巨大な風車がレオンを待ち構えていた。
とりあえず内部から侵入して見るも、羽根の回転軸に嵌め込むための歯車が見当たらない。

前世にはこんなギミックは無かったため、レオンは困惑していた。

(こんなの、俺が知っている農場じゃない……)

こうなると歯車を探すしか手段はなく、レオンは散々歩き回った末に施錠された農作業場の一階で歯車を発見した。
しかし取得した瞬間、嫌な気配を感じてハッと顔を上げる。
同じ場所でネコババした宝物を握り締めながら身構えていると、そいつは現れた。

──バァン!!

扉の破片を撒き散らしながら派手にエントリーしてきたのは、牛の頭の皮を被り、巨大なハンマーを振り回す謎の大男だった!

「処刑マジニ!? いや違うぞ、なんだコイツ!!?」

こちらがショットガンをぶっ放しても怯まない牛男に、何度も殴られるレオン。
そろそろ頭蓋骨が陥没するのではないかという頃、レオンはようやく解決法の糸口を掴んだ。

──縦の振り下ろしではなく、横の振り回しならば、しゃがめばいいのである!

(※白黒で小さくしゃがみボタン表示が出ていたが、その時は消えるのが早くて視認できなかった)

破片手榴弾も投げながら、どうにか撃退に成功したレオン。
動揺のあまり合成前の緑ハーブを生で2つもムシャムシャしてしまったが、生き延びられたので些末な問題である。

「……何回か天国が見えたが、意外となんとかなるもんだな」

ひとまず回復アイテムを補充しようと考えたレオンは、久しぶりに雌鶏の尻を追いかけ回すことにした。
トサカの大きさを見るに、農場に3羽いるニワトリのうち1羽は雄鶏だと思われる。
しかしタイプライター小屋付近のニワトリは卵を産む瞬間を目撃したので、確実に雌鶏である。

(1パック分くらい拾ったら先に進むか……)

ぼーっとしゃがんでいたら雌鶏に正面から蹴られた(※体力ゲージ表示されたので微ダメージ?)ものの、産卵を待ちながら穏やかな時間を過ごすレオン。
しかし途中から、20分以上待ってもニワトリが卵を産まなくなるという非常事態が発生した。

「どうしたお前達、ストライキか? ハッ、俺もストライキしたいぜ。ははは」

力無く笑うレオンの脳裏に、ある考えが浮かぶ。

(……薄々思っていたが、どうやら前世より厳しい世界らしい……産卵数が少ない可能性もあるな)

前世では農場から一瞬村中央に戻ってまた農場に入る(※エリアチェンジ)とニワトリが産卵しやすかった記憶もあるが、既に茶卵と白卵合わせて4個のストックがある。
待ち続けるのも疲れてきため、レオンは一旦中断し、タイプライターで記録をつけたのだった……。


(次回に続く!)
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