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□ゲームレビュー
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【END ROLL】


せがわ氏が制作した絶望系RPG。
キャッチコピーは「エンドロールは止まらない。」で、ふりーむ!にて最優秀賞&大人気賞を受賞した。
RPGツクール2000 VARUE!製のため、プレイにはRTPが必要。

けっこうバイオレンスな感じなので、作者さんが推奨年齢を15才以上にしている。
プレイヤーが精神的なダメージを受けるタイプのシナリオなので、鬱ゲー好きにオススメだよ!


・ストーリー

真っ白な部屋に収監されている無口な少年、ラッセル。
彼を「イカレ野郎様」と呼ぶ謎のビデオメッセージに促されるまま、「ハッピードリーム」という薬物を注射して眠りにつく。
ラッセルが見ているのは本当に幸せな夢なのか──。


・登場人物

<ラッセル>
困り眉の少年。
家庭環境に問題があり、情緒が発達していない。
やるときはやるタイプ(物理)
このゲームでは、彼の見ている夢の中を探索する事になる。
殆ど精神世界の様相を呈しており、ファンタジー風の世界に置き換わっているものの、現れるネームドキャラはそれぞれ現実世界でのラッセルの関係者がモデルになっている。
(※一部を除く)

<タバサ>
動物のお医者さん……ではなく飼育員さん。
(このネタ伝わるのか?)
一応、獣医学の知識もある模様。
ビビりだけど気さくで優しい兄ちゃんで、序盤の選択肢によってはお小遣いをくれる。
銃とナイフを装備でき、戦闘では様々な属性のスキルを扱えるオールラウンダー。
ちなみに銃は重い代わりに威力が高く、ナイフは威力で劣るが軽くてクリティカルが出やすい。
応急手当による回復も可能で、あまり尖った性能は無いものの、全体的にバランスが良いイメージ。
最初から最後まで活躍できるポテンシャルを持つ。
飼育員なのに武器が狩人っぽいのはご愛嬌。

<ガーデニア>
料理が得意で天真爛漫な少女。
ポジティブな発想で励ましてくれるので癒される。
料理の火力も強めだが戦闘の火力も強めで、回復キャラと見せかけて完全なるアタッカー。
武器は物理特化のフライパンと魔法特化の包丁。
フライパンの方が敵を燃やせそうな雰囲気だが、火属性攻撃は包丁でしか出せない。
MP的な意味ですぐバテてしまうのが玉にキズ。
スピードがよく伸びるので、彼女にしあわせの壺を装備させると大したデメリットなく継戦能力が上がっていいよ!

<コーディ>
植物に詳しい、ツインテールのツンデレ少女。
言い方はキツいが中身はむしろ優しい方。
心配性で照れ顔が可愛い。
戦闘では火属性アタッカー枠がガーデニアと、ヒーラー枠が兄のドグマと被っているものの、ガーデニアよりMPが多く、ドグマと違って眠りの付加効果を持ったスキルを使えるので、性能面では差別化されている。
弓と杖を装備可能で、杖だと植物魔法が使えるようになる。
触手が蠢くのが楽しい。

<ドグマ>
女神像を祀った教会を管理している、気難しい青年。
見た目は牧師だが作中では名言されていない。
妹のことを大事に思っていて、お互いに心配し合っている。
いわゆる魔法使い系のステータスのため、魔法が強力な代わりにHPと物理攻撃が貧弱。
喘息持ちだからか……?
初期装備は聖書で、使える技も光属性。回復技が多め。
しかし武器を剣に持ち替えた途端に、強力な物理アタッカーと化すのが彼の面白いところ。
刺突技カッコいいよ!

<ミレイユ>
町長の家で使用人をしている、気が弱くて優しいお姉さん。
いつもの雰囲気からは想像できないが闇属性の技を持ち、時々見せるヤンデレ顔が怖い(好き)
武器はモップと注射器で、モップなら通常攻撃が全体攻撃になり、注射器だと敵の体力を吸収する技を使える。
彼女の召喚獣めいて現れる黒猫のような生き物は、まさにグリーンアイドモンスター。可愛い。

<閑照(カンテラ)>
薬局を営むリュウ族の青年。
のんびりした性格で、口調がじじくさい。
というのも、散歩を徘徊と呼んだり、年配者である町長のザクセンと2時間も茶飲み話をしていたり、言動が完全にお年寄りのそれ。
しかし昼行灯に見えて、その実は……。
武器はお札と手鞠で、補助系の技や氷属性攻撃、相棒の竜を召喚する全体攻撃なんかが使える。

<ユーミ>
保安官のような見た目の、町の平和を守る金髪美女。
姉御肌で面倒見がいいものの、気の弱いタバサからは恐れられている。
性格通りゴリゴリのパワーファイターで、スキルを連発するとすぐ燃料切れになる代わりに素の攻撃力が高い。
第二武器なんかバズーカ砲だからな!
(※初期武器はメリケンサック)
しかしスキルのサマーソルトキックも格好良いので、どちらを使うか悩みどころ。

<情報屋>
ラッセルに瓜二つな姿をした謎の少年。
取り逃し要素が怖ければ、彼の所へ行けば大体教えてくれる。
自力攻略に特にこだわりが無ければ、毎朝話しかけに行くべき存在。
なお、まぁまぁな毒舌。


・良かった点

悪夢の中にいるような世界観で、至る所で背筋がザワザワして好き。
特に「目」に特徴のある生き物や、眼球を象ったオブジェが多く存在する。
グロテスク表現や血の描写も多い。
(ただしホラー要素は要所要所に散りばめられている程度で、ダンジョンではない市街地の雰囲気は基本的には穏やか。一部治安が悪い町もあるが……)

「ゲーム好きの少年の空想から生まれたファンタジー世界(夢)」が舞台なので、幻想的で美しい場所もある。
特に、黒百合がモチーフの住人がいる町は、死を想わせる暗さと気品のある雰囲気が合わさって魅力的に感じた。

夢の世界なので脈絡の無い様々な世界が混在しており、いろんなロケーションが楽しめる。
各所の住人達もなかなか個性豊かで、思わずクスリとなるような台詞も多い。
イベントに対する仲間の反応も多数用意されており、観光旅行のような楽しさを感じることも。

メインストーリーでは仲間達と交流を深めていく一方、主人公の秘密が明らかになると穏やかな日常が一転。
異物で侵食され狂っていく。
この緩急が素晴らしく、ほのぼのイベント→トラウマシーン→ほのぼのイベント→トラウマシーン……と繰り返されるので、激しい落差で両方印象に残る。

また、ゲームを進めるごとに主人公の印象ががらりと変わり、ジェットコースターのような展開を楽しめる。
さらに一部の夢の住人にもただならぬ秘密があり、ミステリーものの犯人の回想のような味わいがある。

ラストは心が抉られる展開で、鬱ゲー好きにはおすすめだがハッピーエンド好きにはおすすめできない。
心理描写が丁寧なので主人公に感情移入しやすく、プレイヤーのメンタルへのダメージが大きい。
(褒めてる)

ゲーム的にもボリュームがあり、寄り道系のイベントが充実している。
物語の深みが増し、各キャラの強化にも繋がるので、やって損はない。
一定条件を満たすことでゲストキャラクターが参戦したり、隠しダンジョンで重要NPCが裏ボスとして現れたり、実に盛り沢山である。
また、隠しダンジョンクリア後に入れるおまけ部屋では、主人公以外の仲間を操作キャラにして他の仲間達に話しかけることができる。
キャラ同士の会話が聞けたり、意外な一面が見られたりして、ファンサービスもバッチリ。

音楽もせがわ氏の自作とのことで、ベストマッチなBGMのおかげで不穏な空気感が増している。
ボス戦曲は中毒性が高く、ずっと聞いていると沼に沈んでいくような気分に浸れるので好き。


・悪かった点

移動は徒歩のみで、shiftキー押しっぱにしても走れない。
(※他のツクールゲーだと大体shiftキーで走る)

幸いなことにワープ装置の集まった施設が主人公宅の隣にあり、メインストーリーのマップ自体も辛くなるほどの広さはないのだが、やはり走れた方が嬉しい。

また、お手伝いメンバー(戦闘参加キャラ)選択画面で各キャラのステータスが確認できないので、どこかで仲間全員のレベルや装備、スキルの一覧が見られたらいいなぁと思った。

それから各キャラには最強武器が用意されているのだが、コーディとドグマは兄妹どちらかの分しか入手できないのが辛い。
両方……両方好きなんだよ……!(血涙)



・ネタバレあり感想や考察
(一部うろ覚え)









<タバサについて>

ちょっと情けない性格なのも、お兄ちゃんキャラなのも好きで、最初から最後まで連れ歩いていた。
情報屋くんにも良い人過ぎて心配されててマジお兄ちゃん。
武器が狩人っぽいのは、ラッセルがRPG好きだからだろうか?
それにしても光のナイフってなんかカッコいいよね、カッコよくない?
あと自分も威勢の良い人がちょっと苦手なので、タバサがユーミにちょっと引いてる感じなのがわりと共感できた。
怪我した猿の治療でミレイユと仲良くなってるのを見てほっこり。
おまけ部屋の猿、たしかタバサとミレイユにだけ笑顔なんだよね……おまけ部屋の猿は可愛い……。
というか作者さんサイトで公開されてる目撃者くんも可愛いから!!見て!!

<ガーデニアについて>
ゾンデニアちゃん大量増殖は何回見ても怖い。
イベント終わって荒廃した後に彼女のエリアに行った時も、休憩部屋に入ろうとするとゾンデニアちゃんが入口を塞いできて怖かった。
でも唯一無二のムードメーカーだからね!
元気でかわいい天使(意味深)だからね!!
やる気のない代理店番天使デニアちゃんも好き。
あとおまけ部屋でラッセルの友達のクリスがガーデニアに片思いしてるの微笑ましくて好き。

<コーディーについて>
な゛ん゛でドグマとどちらかしか選べないイベントがあるんですか?(ブチ切れ)
ラビリンスの幻覚見せてくる階に2人の最強武器(どっちかしか取れない)あった気がするんだけど、適当に触ったらもう取得扱いになっちゃったので一言欲しかったですね(憤怒)
それにしてもあの階怖かったなぁ……まさかお薬キメてるラッセルくんの記憶じゃないよな……。
それとコーディーは教会に蔦が生えてたから植物担当なんだろうか?
しかも火属性……(意味深)
数いるツインテツンデレ少女キャラの中ではかなり毒気が少ない方だと思う。
料理苦手で他の女性陣に教わってるの可愛くて好き。

<ドグマについて>
第二武器めちゃくちゃカッコいいよね!!!
火力高くて回復もできて最強に見えるのに体力無さすぎてすぐ死んじゃうの儚くて好き。
いや嘘ですお願いだからもっと体力つけて……おまけダンジョンの敵全体攻撃かなんかでお兄ちゃん一人だけ死んじゃったの未だに覚えてるからな……。
同じ作者さんの作ったTOWER of HANOIだとアダムスの性能がドグマに近いと思う。
火事に縁のある聖職者だからかな……。

<ミレイユについて>
お祭りにはミレイユさん連れて行きました。
ラッセルが寝込んだ時のお見舞いに月魚のスープが入ってて、おまけダンジョンで窮地を救われたようなそんな思い出。
夢の世界の最期はラッセルと同じような前科がある仲間だったから独特な味わいがあったよね……。
あと酩酊者がザクセンのいる方角に向かった時の表情怖くて好き。
どうでもいいけど彼女を見ているとスーパーダンガンロンパ2の罪木蜜柑ちゃんを思い出す……。
っていうか嫉妬の獣はデカい猫って事でいいんだよね?ね?猫は可愛いなぁ!!!(ニャン族除く)

<ザクセンについて>
町の住人で唯一ラッセルが直接会ったことがなく想像で作り上げた人物ということで、ミレイユのためにわざわざ配置したのかと思うと趣深い。
閑照とのおじいちゃんトークは結構好き。
あとおまけ部屋でミレイユが嫉妬の獣を飼おうとした時の反応も良い人で好き。

<閑照について>
正直この人が一番怖い。
情報屋くんからもなんか嫌われて(?)たし……。
いやでもね、プレイヤー的には嫌いじゃないんだけどね!?
おじいちゃんみたいな言動面白いし。
でりばりゅうアタックも好き。

<ユーミについて>
超美人。金髪が眩しい。
でも江戸っ子な姉御肌〜〜〜!!
加入が遅いせいで映画見に行くイベントが他キャラより少ないのが惜しまれる。
あ、でも作者さんサイトで公開されてるんだっけ?
見た記憶はあるのに探し出せない……。
あとユーミだけおまけ部屋の風呂がホラーで怖い。
酩酊者さっさと成仏してどうぞ。
TOWER of HANOIだとローランドに近い性能だと思うんだけどユーミの方が露骨にスキルの燃費切れが早い感じがする。
もしかしてあのローランドより脳筋ッてコト……!?

<情報屋について>
最初はラッセルの罪悪感から生まれた分身かと思ったけど……ラッセルが大好きだった攻略本の化身なのか?
でもその割にラッセルの内面に詳しいし……あーダメだ全然わかんね〜〜〜!!
エンディング分岐の時に選択を尊重してくれて、ちょっと印象が変わった記憶がある。
おまけ部屋でもキャラによっては応対が柔らかくなるし、ラッセルの深層心理的なやつなのかな……。

<夢先〜の人々について>
レイモンドが「完遂者になったら(現実世界で)また会おうぜ!」みたいな事を言ってたような言ってなかったような気がするんだけど、ラッセルの最期を見てから思い出すと非常に心が辛い。
フェアリアさんとユエちゃんは見た目がめっちゃ好き。
ウォルターはなんか……あのフサフサいいよね。性格は……うん。


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語り出すと止まらなくなるのでこの辺にしときます。
本編は鬱だけど、おまけ要素のベッソー島は穏やかな気持ちになれて良いよ!!
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