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□ゲームレビュー
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【東方催狐譚 〜 Servants of Harvest Wish】

Team Dreamcatcherによる、東方二次創作シューティング。
作者達は海外勢だが、それを感じさせない和風な雰囲気に仕上がっている。
原作だと「東洋風」みたいな曲が多い分、和楽器音源多めに使ってるこっちの方が和風っぽいかも……?
また、ステージボスはオリジナルキャラだが、自機や中ボスは風神録からの出演が多い。
ふりーむ!またはSteamにて無料ダウンロード可能で、Steamだと五穀豊穣なサントラもダウンロードできるよ!

操作感が原作とほぼ同じなので、いつもの東方と同じような感覚で遊べる。
東方好きならやってみて損は無し!
やったことなくても、弾幕シューティング入門編にどうぞ!


・ストーリー

秋の収穫期に作物が枯れる異変が起き、調査に向かう主人公達。
このままでは里が飢饉に襲われてしまう。
主人公達は、その辺を飛んでるやつらを適当に撃ち落としながら手がかりを集めていく。
黒幕は一体誰なのだろうか?


・自機紹介

〈宥める微風の巫女・博麗霊夢〉
笑うと顔の周囲に花が咲くのが可愛い。
たぶん、今回一番真面目に異変を解決している。
機体はいつもの針巫女or誘導弾の二択。
パスウェイジョンニードルはボス戦がすぐ片付くので好きだし、夢符「退魔符乱舞」も勢いがあるのでボムってて楽しい。
逆にホーミングアミュレットは火力が弱くて、ボスを倒すのに時間がかかる。霊符「夢想封印」も、威力と弾消し性能が低すぎて泣ける。

〈清める降雨の魔法使い・霧雨魔理沙〉
いつも通りの平常運転。
やんちゃで泥棒っぽい発言が多く、口先でボスを丸め込もうとするが大体バレる。
機体はこちらも慣れ親しんだミサマリorレザマリ。
マジックミサイルはちゃんと仕事してくれるが、魔符「スターダストレヴァリエ」は夢想封印と同じくらいアレな印象。
イリュージョンレーザーはしっかり貫通してくれるので、5面道中で活躍できる。ボスの前に陣取って撃ち込むのも、体力がゴリゴリ削れて楽しい。恋符「マスタースパーク」も切り札らしい高火力。
移動速度が速いので、点符上部回収しやすいのも強み。

〈強める土壌の現人神・東風谷早苗〉
ナチュラルに毒を吐いたり、腹黒い発言が多くて笑わせてくれる。
特に2ボスとの会話は煽りが酷すぎて爆笑した。
機体は蛇が枢軸、蛙が広範タイプとなっている。
スカイサーペントは正面を外しても自動でカクッと敵に当たる仕様で、威力も高い。秘術「グレイソーマタージ」も巨大な五芒星が出てきてかっこいいし、気になる点も特に無い。
コバルトスプレッドはワイドショットだが火力に欠け、一番下で撃つと中途半端な高さで消えてしまうのがネック。蛙符「手管の蟇蛙」は全画面弾消し&高威力で文句無しの強さ。

〈覚める日光の竜・竜子〉
竜人のパン屋娘。
茶色を基調としたファッションで、絶対領域の持ち主。
オリジナルキャラかつ前作の登場人物らしいが、前作がふりーむ!やSteamに無いため背景がいまいちよくわからない。
読みは「りょうこ」である。
ファイアリーレインは軌道を変えながら全方位に火の玉を発射するというショットで、そのため自機が画面上部にいてもなんとかなる…かも?ただし密度は薄め。竜符「福龍の怒気」は衛星軌道上の隕石が敵を殴る独特な動きのボムで、見た目はかなり面白い。性能はまあ…うん。
スロースターシャワーは通常ショットの合間に謎の光の塊が発射されて、これが異様に強い。消滅「コバルトドラゴンブレス」はどこに当たり判定があるのかよくわからない。謎。


・システム
残機は点符でエクステンドし、ボムはかけらで増える制度。
妖々夢の森羅結界に似た「ハーベストシステム」という独自のシステムがあり、なかなか死ににくくなっている。
「ハーベスト」と呼ばれる茶色い粒々を一定量集めると結界が展開されて、その状態でXキーを押すとボム代わりに自機の周囲を弾消しできるのだ。
また結界展開中はアイテム自動回収効果があり、弾消しを発動しなければアイテム回収量に応じてボムのかけらが得られる。
そして回収量が多ければ弾消し効果範囲も広がる仕様。
ちなみにハーベストはグレイズすることで大量に出現する。


・良かった点

個性的な形の弾幕が多く、視覚的に楽しめる。
ボスのスペルカードはどれも大体見た瞬間に「なんだこれ!?」ってなるので、初見の衝撃が良い意味で忘れられない。
和風かつテンポの良いBGMも各ステージの雰囲気に調和していて、ノリノリでシューティングを楽しめる。

また、筆者はイージーシューターなのだが、ほどよい匙加減の難易度設定がされており、練習すれば素人でもグッドエンディングを見る事ができる。
(※難易度は問わないがノーコンティニュークリア必須)
食らいボムの有効時間も長めで、初心者に優しい。
逆に上級者向けのやり込み要素もあり、EXの上の難易度まで存在するので、玄人も満足できるのではないかと思う。
特にスペルプラクティスのOVERDRIVEというモードは永夜抄のラストワード風になっており、各スペルカードの出現条件が完全にシューター向けになっている。
自分は点符を5000集める奴だけ解放したが、早苗さんの鬼畜弾幕がキツすぎてスペカ取得出来る気が全くしない。もう見るだけで満足した。

背景設定もかなり練られていて、原作でお馴染みのおまけtextまで再現されている。
内容を読むに、たぶん作者は下手な日本人より日本文化に詳しいと思われる。
ここまで知ってるのは本当に凄いと思うし、東方愛を感じる。
また、原作タイトルは必ず6ボスの名前が1文字入っているのだが、この作品もそれに倣っていて感心した。

キャラの立ち絵も可愛らしく、萌えをよくわかっていらっしゃるという感じ。
原作のZUNさんはロリ路線だが、こちらはどちらかといえばセクシーな路線かもしれない。


・悪かった点

和訳が不自然な箇所がいくつかある。特に助詞。
しかし概ね理解できるし、フリーゲームなのでまぁ良いかなとは思う。
むしろ日本語版を出してくれたことに感謝したい。

どちらかといえば、一部の敵弾が背景と同じ色で見えにくいのが気になった。
特に3面は紫色の背景で紫色の弾が飛んでくるので目が疲れるし、4面は星空背景で星弾が飛んできて事故りやすい。

あとはなんとなくなのだが、竜子Bが強すぎて若干オリキャラ無双の気配を感じなくもない…かも?


・プレイ感想

〈タイトル画面〉
霊夢がとても可愛いのだが、頭上の謎の物体が気になる。ラバーカップみたいな形なのだが、よく見るとベロらしきものが出てて怖い。黒幕の性質からして、洗脳装置とか…?
BGMの「萎れた豊富」は、微かな郷愁を誘うメロディーながらもテンポが良くてウキウキしてくる不思議な曲。心が癒される。

〈1面〉
黄金色の稲穂の海の上を飛んでいくステージ。
中ボスは風神録から登場の秋穣子で、交差弾が苦手なので毎回ちょっと緊張する。
台詞は無いがハード以上だとスペカがあり、立ち絵を見ることが可能。かわいい。
道中BGMの「金色の太陽と雲色の地平線」は、最初は穏やかな雰囲気だが徐々にメロディアスになり、終盤は東方らしい切なく激しい旋律が流れる。

1面ボスの黒塚赤実は赤舌という妖怪で、黒幕のフリをしているただの通りすがりである。前作からの登場らしい。
意識しなくてもおっぱいに目が行ってしまう格好をしており、魔理沙と早苗にも薄着すぎる事を指摘されている。ただし肌が灰色なのでよく見えない。
夜雀並みに視認しにくいスペカを放ってくるが、1面なのでまだ有情。
BGMの「キュムロニンバスグリマス」はZUNペット炸裂のノリノリな一曲。

〈2面〉
夕焼けの中を進んでいくステージ。
道中BGMの「人獣夕行」は祭囃子らしい雰囲気で、妙に懐かしい気持ちになる。
2面ボスの影面(かげも)は外の世界から来た女の子で、謎の狐面をつけた超高校級(自称)の「よさこいダンサー」である。元気いっぱいで明るい性格だが、よさこいをdisられるとキレる。アクセントの大きな鈴が可愛い。
弾幕は虹色の音符がメインで、綺麗だし賑やかな感じがする。
BGMの「よさこいフォックストロット」は出だしから非常にハイテンポな曲で、思わず体で拍子を取りたくなるくらい心が浮き立つ楽しい一曲。


〈3面〉
夜の森を進んでいくステージ。
敵弾が背景と同化しているせいでアイテム回収時によく事故る。
道中BGMの「森の花にご用心」はタイトル通りというか、非常に胡散臭い感じ。
3面ボスの鍔木幸子(つばきゆきこ)は、その名の通り椿の妖怪で、人間を働き蜂に変える趣味を持つヤンデレ系のお姉さんである。
椿の花や蜂の形をした弾幕が特徴。
ただし先代の巫女に退治されてからは大人しくしているらしい。
片目隠れキャラ特有の妖しさが魅力的で、年長者らしく事情通。

スペカは防御隊形「蜂巣を守れ!」が地味に苦手で、クナイに後ろから刺される事故が多発してトラウマ気味。クナイって蜂から離れたり離れなかったりするけど、なんなんだ?
霊夢だとあんまりクナイ飛んでこないんだよなぁ…。
ヨソジもあと少しというところで気づかない内にピチュって悲しい。
BGMの「夜咲きツバキ 〜 Heart of the Swarm」は危機感を煽るような怪しさ全開のイントロから始まるが、後半はジャズっぽい(?)お洒落なパートがある。


〈4面〉
満天の星空の下を進んでいくステージ。
永夜抄魔理沙のミルキーウェイに似た弾幕を放ってくる妖精がいてちょっとニヤニヤした。
ここの中ボスも風神録から登場の射命丸文で、こっちはイージーでもスペカ&台詞有り。
道中BGMの「星海の風波」は、イントロのピアノの旋律の美しさが印象的。続いてヒロイックかつ勢いのあるメロディーが続き、終盤は寂しげな曲調に変化する。

4面ボスは影面の作った「人形神(ひんながみ)」であるメイメイで、影面と一緒に登場する。
2人は互いの事を友達のように大事に思っているらしく、お互いを心配し合ったり、気遣いし合ったりする会話を聞いていると萌える。
百合はいいぞ…(心の声)
メイメイ自体はやや禍々しい雰囲気ではあるが、ピンクの大きなリボンをつけていたり、着物がミニ丈だったりして愛くるしい。
「呪」という漢字を弾幕にして飛ばしてきた時は非常に驚いたが、レーザーと星弾幕の組み合わせなどは見た目も可愛らしくメルヘンな気がする。
ただし耐久スペルの「守銭奴の最後の願い」は、緊張の余り最後らへんでボムるかピチュるかしてしまう。
ナイフの精密避け苦手。
BGM「ネメシスの魔法人形」は全体的に和風ホラーなテイストだが、ZUNペットやエレキギターのおかげで疾走感があり、妙な中毒性がある。


〈5面〉
鳥居の立ち並ぶ中を進んでいくステージ。
ステージタイトルは「狐の催しの譚」で、作品名の意味がここでわかるようになっている。
黄色いレーザーは上手く避けられると楽しい。
また、原作では大抵4面でボスそのものや攻撃方法が分岐するが、今作では5面で分岐がある。
(機体タイプがAかBかによる)
ということで、BGMの「聖な神社 俗な巫女」も2パターンあり、ギターorハープとなっている。
ただし自分は正直なところ弾避けに忙しくて全く気づかなかった。
BGM自体は道中曲らしく、テンポよく、かっこよく!という感じ。
同じリズムが続くので、プレイしていて小気味が良い。

5面ボスは名月神社の命婦(狐の神霊)である三珠申田(みたまさるた)と三珠鈿目(みたまうずめ)のコンビで、豊穣を司っており、申田が土担当、鈿目が水担当。どちらも狐耳としっぽがもっふもふである。
作品サブタイトルの「Servants of Harvest Wish(=豊穣の願いの従人)」はこの2人を指しているらしい。
申田はオレンジのショートヘアーで直情径行型、鈿目は水色のロングヘアーで深謀遠慮を巡らすタイプと対照的だが、姉妹のように仲が良い。
申田の弾幕はとんがりコーンみたいなやつ(たぶん岩)と、地割れ風のレーザーが個性的。
鈿目の弾幕は水属性らしく、パチュリーのプリンセスウンディネやサイレントセレナを彷彿とさせる。
BGMの「対決!如意宝珠の試練」は作曲者自身がアニメっぽくなったとコメントしていたが、私も「勝利のマシンロボ」みたいなノリを感じた。
熱く盛り上がる名曲なので、サントラだけでも聞いて欲しい。
イントロから既に熱い。


〈6面〉
道中は完全な暗闇で、人魂が花火のような弾幕を放ってくる。
BGMの「ヴルペクラ・エト・アンサー」はオルゴールのようなイントロが特徴的で、かなり落ち着いた曲調。(ちなみに「vulpecula」は星座のこぎつね座)

道中を抜けると夜が明けて、美しい朝焼け空と山並みが現れる。
6面ボスの宇賀神稲狐(うがじんとうこ)は申田&鈿目のご主人様であり、おっとりした性格のお稲荷様である。長めの萌え袖がかわいい。
6ボス特有のハモるような台詞もちゃんとあり、ニヤりとする。
笠間焼を収集しているらしく、弾幕では壺を多用してくる。というか壺からレーザーが射出される。
BGMの「日出観月 〜 Best Wishes」は道中曲と同じメロディーも使いつつ、和風かつラスボスらしい風格の感じられるテイスト。

妖々夢と同じく、これが最後みたいな雰囲気の耐久スペカを出しておいて、ラストにもう一個ぶちこんでくる。
「ハーベストを集めろ!」と表示されるのだが、未だに何がどうなって何が起きてるのかよくわかっていない。
BGMの「Master of Harvest Wish」は冒頭の和太鼓が印象的。そして残機が限界の状態でプレイしてると、大抵曲が一番盛り上がるところでピチュる。
上手く避けられれば脳汁が出るけどな!

〈EX〉
ボスの顔は見たがクリアしてないので、ボスとBGM紹介だけ。
道中ボスは影面&メイメイで、EXボスは紂眞藻(しりがいのまも)というメガネでドSな黒幕のお姉様である。正体は玉藻前ということで藍様と被りそうだが、第一印象はこっちの方があからさまにヤバイ。「アタシ様」とか「お前ちゃん」とか言ってくる。
道中曲の「曼珠と沙華の神隠し 〜 by any other name」とボス戦の「藻女(みずくめ)のマインドゲーム」は両方テクノ系で、かなり中毒性が高い。どちらも女の声のように聞こえる音声が入っていて、眞藻による洗脳をイメージしているのかもしれない。
……催狐も「サイコ」とかけてる?


・さいごに

和風な雰囲気がとっても素敵な一作です。おすすめ!
しかし魔理沙が6面で「暴力も弾幕も、あるんだよ!」と言うのは、まどマギネタなんたろうか?
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