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□ゲームレビュー
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【東方輝針城 〜 Double Dealing Character.】


大人気巫女さんシューティング第14弾!
今回は虐げられてきた弱小妖怪達の反逆物語。
日頃から社会の理不尽に抑圧されて鬱憤まみれの生活を送っている人ほどボスキャラ達を応援したくなる不思議な作品になっている。

気が弱くて思った事を言えなかったり、大人しくてナメられてたり、とにかく不満を内に溜め込むタイプの人はボス達に色々共感できるのでおすすめだ!


・ストーリー

ある日突然、強い力を持つようになった道具達。
巫女さんのお祓い棒が動きだし、魔女の八卦炉は勝手に火を噴き、メイドのナイフも自然と敵に向かって飛んでいく。

このままでも別に困らないけれど、道具達が力を持った原因は一体何なのか?
普段大人しい妖怪達も、なぜか時を同じくして暴れだしたらしい。

3人の少女は異変の元凶を探して飛び立った!

−−という感じ。
大物っぽい凶悪な妖怪が出てこないので、いつもよりシリアス度数は低め。
特に序盤は明るく楽しい雰囲気になっている。


・良かった点

音楽が癒し系。
いわゆるヒーリングミュージックとは趣が違うのだが、アップテンポで心が浮き立つ曲や元気が出る曲が多くて癒される。

また、今回は霊夢達に普段相手にしてもらえないくらい弱い妖怪がメインの話なので、わりとボス達に親しみを持ちやすい。
妖怪界の庶民みたいな感じ。

ゲーム的な部分では、アイテムを大量に上部回収するとボムやエクステンドのかけらが放出されるのだが、ちょっと上に行くたびにピョコピョコと☆や♡が降ってくるのでなんかだんだん気持ちよくなってくる。
謎の中毒性。

弾幕は比較的易しめで、初心者でも楽しめる方だと思う。
目が死にかけるような高密度弾幕や高速弾幕は少ない。

……まあ私はEasyでさえ魔理沙Bでしかノーコンティニュークリアできてない上に5時間かかったけどな!!!

コンティニューは残クレジットが表示される方式になっていて、ゲーセンのアーケードゲームの雰囲気を味わえる。


・悪かった点

背景やエフェクトがごちゃごちゃしていて、敵弾との判別がしにくい箇所がある。
そのため、エフェクトだと思って突っ込んだらピチュる事故が多発。

あとラスボスの弾幕がやや地味というか、見た目が綺麗なのがラストのスペカくらいしかない。
インパクトはあるのだが……。

また、妖器を使わない時の立ち絵が、妖器使用時の立ち絵(道具を手に持っている)からそのまま道具だけ切り抜いたイラストなので、ちょっと不自然な感じがする。


・自機キャラ紹介

※今作では、各キャラごとに妖器(付喪神化した道具達)の使用・不使用を選択する仕様になっている。

〈博麗霊夢〉

のんびりした巫女さん。
異変解決に関しては完璧超人みたいなイメージだったが、バッドエンドの困り顔があまりにも可愛くて初めて霊夢に萌えた。

妖器使用時の通常ショットはお馴染み誘導弾なので道中が非常に楽。
また、今回はお祓い棒が鬼のように強い。
なんかこう、非常に容赦ない。
実際の威力はまあいつものボムなんだけど、見た目がエグいというか強烈というかとにかく強くてかっこいい。好き。

お祓い棒不使用だと針巫女になるのだが、そっちはあまり使ってないので今回は触れない。


〈霧雨魔理沙〉

普通の魔法使い。
いつものマスパがパワーアップしてダークスパークになった。
でもなんか黒くてあんまり好きじゃない。
魔理沙のことは大好きなんだけど今作のダスパはいまいちテンションが上がらない。なぜだ。

妖器使用時の低速ショットは火焔放射で、近くで当てないと威力が下がる玄人仕様。
個人的にはミニ八卦炉を使わない方が楽かもしれない。
妖器不使用だと低速ショットがマジックミサイル(通称ミサマリ)になり、こっちは遠距離でも威力が高い。

ボムはマジックアブソーバーという、魔力を吸収する(?)魔法陣なのだが、一風変わった性質を持っている。
まず、魔法陣に触れた敵弾をPやら点やらのアイテムに変換するので、上部回収でエクステンドしやすくなる。
そして本人の無敵時間が非常に短くボム発動中でも余裕でピチュるのだが、上に向かってゆっくりと飛んでいく魔法陣の中心に居座れば弾に当たらないため、かなり長い時間逃げられる。

……とあるスペカの波状粒弾はなぜか魔法陣を貫通してくるけどな!

まあなんだかんだで死ににくく、エクステンドしやすいので、クリア向けの機体だと思う。
魔法陣自体の威力はあまり無いが、ショットが強いのでそこまで問題にはならない。
時間切れ狙いなら、ダスパより長く時間稼ぎできる事もあり、存外有能。


〈十六夜咲夜〉

しっかり者に見えて天然の入ったメイド長。
血に飢えたナイフを所持していて、たまに辻斬りのような事を口走る。

ナイフはシルバーブレードというらしく、低速ショットだと霊夢の通常ショットのように勝手に敵に向かって飛んでいってくれる。
わりと便利。
通常ショットはワイドショット気味なので道中が楽。

ボムはバリアで攻撃力はない。
しかし被弾せずに終了するとボムのかけらが3つ放出される(かけら8つでボム1個)ので、しょっちゅう抱え落ちする身としては気軽に発動できて気楽。
おかげで意外と残機が減りにくい。

妖器不使用時はスコアが稼げる以外の取り柄がほぼ無いマゾ向け機体。


・各ステージ、曲感想

〈タイトル画面〉

千代紙のような模様で構成された、非常に美しい和風の画面になっている。
また、タイトル曲の「不思議なお祓い棒」は作中随一の癒し曲だと思う。

イントロからして、控えめで優しいギターの音色が心を鎮めてくれる。
ピアノと木管楽器の旋律も軽やかなメロディを刻みつつ穏やかで美しい。

二日酔いで気持ち悪い時によく聴く曲の1つ。
安らかに眠れる。


〈STAGE1 淡水真珠の涙 〉

紅魔郷2面と同じく、霧の湖を進んでいく。
道中曲の「ミストレイク」は紅魔郷の「ルーネイトエルフ」と少し雰囲気が似ており、涼しげで切ない旋律が特徴。
胸が締め付けられるような激しさがあり、人魚姫伝説を彷彿とさせる。
個人的には神曲だと思うのだが人気投票では下位に甘んじており悲しい。

1面にしては敵弾が多いものの、まだ程良く感じられるレベルなので純粋に楽しくプレイできる。
中ボスのチルノはドット絵の表情が虚無っており怖いと評判。

1面ボスのわかさぎ姫はおっとりした性格だが、おとなしいが故にいつも無視されて悲しいという思いが積もり重なりこの度の異変で爆発して暴れだした模様。
自分もわりとこのタイプなので共感できる。

テーマ曲の「秘境のマーメイド」は、元気良く暴れてやるぞー!みたいな彼女の意気込みが感じられる。
人魚姫で連想される悲愴感はミストレイクで全部出しきった感があり、むしろ水辺ではしゃぐ様子が浮かんでくるような威勢の良いギターサウンドが特徴的。
弾幕は波や鱗をモチーフにしている。
戦闘中にしっぽが水中で揺れてるのが可愛い。


〈STAGE2 柳の下の生首〉

柳の運河が舞台。
人里の中を進んでいく珍しいステージ。
陰陽玉が碁盤目状のレーザーを射出してくる。
でもまだ楽な方。

道中曲の「運河を行き交う人妖」は、ZUNペットと呼ばれる東方特有の勇ましいトランペットの音が炸裂しており、イケメンなメロディーになっている。

……いや、たぶんトランペットだと思って書いたけどなんか不安になってきたな……。
とりあえずヒロイックでかっこいいのは本当。

2面ボスの赤蛮奇は作者曰く中二病で、「私を見て怖がらないなんて許さない(ニヤリ)」とか「頭を見る度うなされよ!」とか、人間をびっくりさせようという気概がすごい。

でも「うなされよ」って事は生かして帰してくれる気はあるみたいなので、やっぱり大人しい方。
あと説明によるとプライドが高く誰とも打ち解けられないのでぼっちらしい。泣ける。

ろくろ首は別名を飛頭蛮といい、首が伸びるやつと首が飛ぶやつがいて彼女は後者……と思ったが書籍で伸ばしていた。
あとビームは目から出ている事が続編で判明。

ケケケッ!みたいな笑い声と共に首が増えて飛んでいくので初見だとマジでビビる。
2面ボスってビックリ系が多くね?

テーマ曲の「柳の下のデュラハン」は「おどかしてやるぞー!」という気持ちが溢れ出ているかの如き愉快なイントロから始まり、メロディもなんか愉快な感じで面白い曲調。


〈STAGE3 十五夜の妖獣〉

永夜抄と同じく迷いの竹林が舞台。
道中曲の「満月の竹林」も「永夜の報い」と一部同じメロディラインが使われている。
ただしこちらの方がテクノ色が強めでノリが良い。
シンセサイザー(たぶん)の音色が、降り注ぐ月光の神秘的な雰囲気を醸し出している。
この辺から上部回収ピチュりやすい。

3面ボスの今泉影狼は名前の通り狼女で、妖々夢の橙のように自ら突進してくる。
私は困ると一番下に行く癖があるのだが、スターリングパウンスでは画面一番下を左から右に突進してくるので、何も考えずに一番下でばらまき弾を避けてると激突されてもれなく死ねる。
というか最初のトライアングルファングからして本人が三角に突進するのでショットが当てにくい。つらい。

テーマ曲の「孤独なウェアウルフ」はドラムがいきなり自己主張してくる激しいイントロで、影狼が満月で絶好調でノリノリになっている様子が伺える。
あと、イントロの8小節が、星蓮船「平安のエイリアン」のイントロ終わってすぐのメロディと似てる。


〈STAGE4 嵐の中の不協和音〉

幻想郷上空の魔力嵐の中を進んでいく。
道中曲もズバリ「マジカルストーム」である。
ステージタイトル通り、序盤はひたすら不穏で単調な曲調なのだが、金管楽器が登場する辺りからなんかちょっとかっこよくなる。パイプオルガンみたいな音色の和音が響く所が結構好き。

この辺から練習必須な難しさになる。
陰陽玉出現場所の予測ができるだけでも心に余裕ができる。
しかし奥からやって来た陰陽玉が実体化する時、どのぐらいから当たり判定が発生するのか未だにわからなくて怖い。

4面ボスの九十九弁々、九十九八橋は、妖器の使用・不使用によってどちらが中ボスでどちらが面ボスになるかが入れ替わる。
弁々は弁財天めいた天女風の見た目で、八橋はショートヘアー。前者が琵琶、後者が琴の付喪神。

個人的には八橋が好みのストライクだった。
見た目も好きだし「わーお」とか「わっほーい」とか言っちゃうのも面白くて好き。
やっつぁん可愛い。

音符弾や五線譜弾などの個性的な弾幕を放ってくる。
五線譜はなんか曲がってて避け辛いし、音符弾も変な形してるから避け辛いし、通常弾幕がもう結構な密度あるし、正直5面ボスよりこいつらの方が辛い。

テーマ曲の「幻想浄瑠璃」はイントロ部分では和風の弦楽器の音色が目立っており引き締まった印象を与えるが、途中からいつものトランペットになる。
作者曰く琵琶は音源が無かったらしい。


〈STAGE5 何もかも逆さまな世界〉

いよいよ輝針城に突入。
空中逆さ城内部ということで、画面がぐるりとひっくり返る演出が入る。
陰陽玉も下から上に弾を吐いたりするが、必ず左右どっちかに隙間ができるので落ち着いて避ければ大丈夫。
道中曲の「空中に沈む輝針城」は、何かが潜んでいるのを感じさせるしっとり系BGM。

5面ボスの鬼人正邪は種族があまのじゃくで、プレイヤーの操作や画面を反転させる反則級の技を繰り出してくる……が、弾幕密度は薄く、だいぶ気遣いを感じる。
自分の場合、「今は左右反転しているから、あの隙間を抜けるには→キーを押して左にチョン避けだな!」みたいなのを早めに指先に言い聞かせておくと避けやすかった。
まあ不安ならボムった方が安心。

テーマ曲の「リバースイデオロギー」は、東方では珍しく完全にギターがメインの曲になっている。「これが反逆者の生き様だ!」とでも言いたげな、反骨心に溢れたロックテイストな一曲。


〈STAGE6 小さき者の大きな野望〉

ラスボスの潜む輝針城天守閣へ。
ここまでくるともう必死なのであまり記憶が無い。

道中曲の「針小棒大の天守閣」はラスボステーマ曲やエンディング曲と共通のメロディ。
ジワジワと盛り上げる感じの曲なので、他のラスダン曲に比べていまいち華やかさに欠ける気も。

そしてようやく現れるラスボスは、一寸法師の子孫、少名針妙丸。
いかにもちっちゃい子という感じで結構可愛い。

しかしスペカはこちらの動きを制限するものが多く、かなりストレスフル。
正直避けてて楽しくない。
それこそ針に糸を通すような精密避けを要求されるし、「お前が大きくなあれ」は当たり判定が見た目と違う上にすぐ回避不可能に追い込まれる鬼仕様。

しかし最後の「ホップオマイサムセブン」だけは小槌を打ち鳴らす音と色鮮やかに輝く弾が綺麗で好き。
でもスペカ名が覚えられなくて「なんかあの…オポッサムみたいな名前の…」ってなる。

テーマ曲の「輝く針の小人族 〜 Little Princess」は、正邪と同じく反逆者魂を感じさせる熱い曲なのだが、低音部分をギター(ベース?)が支えつつ、トランペットが派手に盛り上げ、ピアノのアルペジオが華を添える非常にカッコいい仕上がりになっている。

エンディング曲の「小槌の魔力」は全エンド共通だが、しんみりしすぎてデフォルトでバッドエンドみたいな曲調。
どっちかというとスタッフロール曲の「不思議な不思議な道具たち」の方が明るくて好き。
こちらはタイトル曲のバージョン違いで、軽快なトランペットがスタッフロール背景の青空によく似合っている。
あとなんかレトロゲーのエンディング曲っぽい。


・エンディング感想

霊夢Aバッドエンドは、困り果てて「下克上側に付いちゃおうかしら」とか言っちゃう霊夢がめっちゃかわいかった。

魔理沙Bの正規エンドも、便利だからお祓い棒使っちゃってたのに「もちろん、お前はお祓い棒を使ってなかったんだろ?」と魔理沙に言われて「そ、そうね。もちろんそうよ」ってどもっちゃう霊夢が可愛いし、ノリノリで打出の小槌を振る魔理沙も可愛い。

咲夜Aバッドエンドは妖剣の妖気にあてられて「もっと斬ってみたい」とか言い出す糸目な咲夜さんで笑ってしまった。
しかもタイトルが「目を覚ませメイド長!」で笑う。


*****

以上、各種感想でした。
EXは九十九姉妹が強すぎてまだ雷鼓さんに会えてません。泣けるぜ。
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