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□ゲームレビュー
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【スプラトゥーン3】


インクを塗り合う大人気対人バトルゲーム。
対応ハードはNintendo Switch。
大きく分けて3種類のモード(対人戦、一人用、協力プレイ)があり、対人戦&協力モードを遊ぶには任天堂オンラインサービス(有料)への加入が必要。

プレイヤーキャラはヒト形態に変身可能なイカ(またはタコ)で、様々なブキを駆使してバトルやバイトに明け暮れる事となる。

子供向けなイメージ&可愛らしいキャラ造形でカジュアルな印象を持っていたが、実際やってみるとかなり人を選ぶゲームなのではないかなと思った。

とりあえず100時間くらい遊んだので、ガチ勢の足元にも及ばない実力ではあるが現時点でのレビューを述べていく。
ちなみに対人モードでだいぶメンタルをやられたので、その部分については批判的に書いてしまっているのでご容赦願いたい。

バイト(協力プレイ)はめっちゃ好きです。



<全モード共通の良かった点について>

イカやタコの質感がぷるぷるしていて非常に素晴らしい。
ピチピチと跳ねる際も弾力が伝わってきて、そういう生物が好きな人にはたまらないと思う。

ヒト形態の方も、トコトコと歩く姿が小さい子供のようで可愛らしい。
髪型も「ゲソ」なので、触ったらプニプニしていそうな感じがしてとても好き。

イカ(タコ)形態では塗ったインクの中を高速で移動できて、これがなかなかの爽快感がある。
「インクを塗る」という行為自体も楽しく、無心になれる。
敵にインクを当てた際の手応えもバチバチ音が鳴るのでわかりやすく、倒した時は相応に気持ち良い。

音楽も、バトルBGMはイケイケでノリが良く、バイトBGMはチェロの音色とリズムが独特な中毒性のあるテーマとなっている。
一人用モードはステージによりけりだが、可愛らしいボーカル入りのテクノポップでテンションぶち上がる事も。

カメラはジャイロ操作可能で、初めてだと難しく感じるものの、Switch本体を携帯モードではなくTVモードにすればやりにくさが緩和される。
これに慣れることで左右や背後の敵を素早く倒すことができ、ジャイロ非対応のゲームでは味わえないスピード感のある戦闘を楽しむことができる。

登場人物についても、全員個性的でキャラが立っている。
ゲーム起動直後に毎回放送されるラジオ番組のパーソナリティー3人組(すりみ連合)の漫才めいた会話も愉快。
自分としては、バイト先の上司のしゃべり方が非常に胡散臭くて好き。

悪い点については、各モードごとに述べていく。


<一人用モードについて>

バンカラ街のオオデンチナマズが消えたのをきっかけに、異変の調査に巻き込まれてしまった主人公の探索ストーリー。

「オルタナ」と呼ばれる謎の場所に何ヵ所も存在する「ヤカン」を攻略し、相棒のコジャケにイクラを与えて「ケバインク」を消していくという内容になっている。

ヤカンは電脳空間のような場所に繋がっており、いわゆるチュートリアル基本編と応用編のような感じになっている。
背景の変化が少なくて段々と飽きてくるのだが、以下のような良い点がある。

・相棒のコジャケが可愛い。最初は目がギョロギョロして怖いと思ったが、アイテムを探し出してくれたり、囮になってくれたりして愛着が湧く。

・ステージ攻略中に通信でコメントしてくれる女の子2人組(シオカラーズ)も可愛い。片方は元気いっぱい、もう片方はイイ性格をしている。

・ある理由で襲いかかってくる「すりみ連合」と戦うことになるのだが、それぞれ意表を突くような攻撃をしてきて面白い。

・オルタナログという調査ログの読み応えがあり、なぜイカ(タコ)が人類のような姿をしているかの謎が解明される。

・サイト6というマップが「水没したビル街を、レールに乗って高速移動する」というもので、疾走感と仄かな哀愁の合わさったBGMも相まって非常に楽しい。

・バイトへの思い入れが深いプレイヤーほど、ラストの展開にぐいぐい引き込まれる。

悪い点としては、ステージごとの推奨ブキが信頼できない所が挙げられる。
サイト4のマト当てはノーチラス、サイト5のマト当てはブラスターを選んだ方が良い……本当に……。

一応隠しヤカンもクリアしたが、最初と最後で心が折れそうだった。
特に最初は鬼畜イカノボリゾーンで泣きそうだったし、大量の回転床がFF15のプティウォス遺跡のような辛さだった。
一番最後のところは、中央に陣取ると四方向から袋叩きにされるので、奥の一辺を塗り固めて強固な陣地にし、カーリングボムでインクの足場を作って各個撃破する作戦でクリアした。
たぶん全部で1〜2時間かかり、コンティニュー用のイクラも数千個消し飛んでとても辛かった。

クマサンが好きじゃなかったら絶対にやらなかったと思う。


<協力モードについて>

ゲーム内名称は「サーモンラン」で、クマサン商会のアルバイターとなり、大量に襲い来るシャケをシバいて金イクラを納品するというカンタンなバイト(大嘘)である。

プレイヤースキルが上達してくると徐々にキケン度が上がり、凶暴なシャケ達に取り囲まれる地獄のような現場が待ち受けている。

ではそんな危険なバイトの何が楽しいのかというと、やはり他プレイヤー(バイト仲間)との交流である。

シャケにシバかれて浮き輪となってしまった仲間を救助して「ナイス!」と感謝されたり、絶体絶命のピンチを乗り越えてバイトを成功させた時にも全員で「ナイス!」を送り合ったり、とにかく優しい気持ちになれる。
(ランクが上がると疲労で無言の仲間が増えるが……)

また、敵のシャケ達は雑魚の他に「オオモノシャケ」と呼ばれるものがおり、何種類かいてそれぞれ倒し方が違う。
バイトを成功させるためには、「どのシャケから倒すか」「どこで倒すか」「遠くの危険なシャケを倒しに行くのは現状で可能か」「目の前のオオモノシャケを放置して味方の救助に向かうべきか」などといった事を瞬時に判断する必要がある。
これが結構難しく、常に脳をフル回転させながら働く必要がある。
しかしその代わり成功時の達成感は大きく、上司のクマサンも褒めてくれるのでやりがいがある。

また、クマサンが魔改造を施したブキを使える日がたまにあるのだが、頭のネジが飛んでいるようなピーキーな性能のブキになっていて非常に面白い。
バイト以外では使えないので、あなたもクマサン商会で一緒にバイトをしよう!(勧誘)

ちなみに私は「たつじん〜でんせつ」あたりのランクをウロウロしている。
作業着は黄ツナギが好き。


<対人モードについて>
※カードゲームのナワバトラーはほぼやってないので割愛

習うより慣れろのスパルタ式で、とりあえず実戦(ナワバリバトル)にぶち込まれる。

ナワバリバトルというのは4対4に別れて自色のインクで陣地を塗りまくるゲームなのだが、塗るだけではなくプレイヤー同士の撃ち合いも各所で勃発する。
一度戦闘不能にされると数秒のインターバルを挟んで戦場に復帰することになり、その間人手が足りなくなるので味方は当然不利になる。
つまり塗りも大事だが、結局のところ対人で撃ち合いをするゲームという感じである。

そしてナワバリバトルでランクを4に上げるまではバイト参加不可なので、協力プレイ目当てのプレイヤーも強制的にこれをやることになる。

この一番最初のナワバリバトルというのがかなりの問題で、初心者はまずボコボコにされる。
なぜなら対戦は「同レベルのプレイヤーが集められるのでは無い」のである。
不確かなネットの情報や体感的な部分で語ることしかできないが、マッチングは各チームの「総合力」を同じくらいにしているようなのだ。

つまり格上と初心者が入り交じったチーム分けもあり得るので、その場合は強者がひたすら弱者を狩りまくる地獄と化す。
初心者には人権など無いのである。

大半のステージは中央部が激戦区になるように設計されており、相手が強すぎるともう試合終了まで延々と嬲り殺され続けるしかない。
リスポーン地点まで攻め込まれたらもう終わりである。

また、最初はブキ(=武器)が一種類しかないのだが、コイツが初心者向けに見えて別に全然初心者向けではない。

その名も「わかばシューター」という、いかにも初心者向けな雰囲気のネーミングのブキなのだが、まず撃ち合いになると勝てない。
これはブキが弱いとかではなく、「射程が短い」「ブレる」という特性があるのである。
こう書くと弱点っぽいが、逆に考えれば「ブレるから広範囲を塗れる」「ブレるから狙いが甘くても相手に当たる」という長所にもなる。

でも初心者にはそんなのわからないので、「なんだよこの武器! 全然勝てねーじゃん!」となるワケである。
少しプレイすると「一人で突っ込むとカモられる」「遠くの敵にはボムを転がした方が強い」等とわかるが、そういったヒントは与えられない。

自分の場合は、ランク2でゲットできるスプラシューターでようやく撃ち合いに勝てるようになった。
なぜならスプラシューターは、わかばシューターに比べてインクが真っ直ぐ遠くまで飛ぶのである。

あの時の感動は忘れられないと同時に、「なんで最初にスプラシューター支給してくれなかったんだ」という怒りが込み上げてきたのを覚えている。
それだけスプラシューターの方が扱いやすいのである。
もちろんわかばシューターで強いプレイヤーもいるので一概には言えないが、正直初心者の私には扱いきれなかった。

しかしこのように若干でも勝てるようになってくると、これまでの反動で勝利する度に凄まじい快感を得られるようになる。
負けてイライラしても「勝つと気持ち良い」から再度バトルに挑むようになり、そのメカニズムはギャンブルや麻薬のようである。

しかしこの麻薬は、長くは続かない。
調子良く勝っていると「チョーシメーター」というゲージが上がっていき、だんだん相手が強くなって全然勝てなくなってしまうのだ。
しかしこのゲームでは、負け続けているからといってすぐに相手が弱くなる事は無い。

ではどうやって連敗が止まるのかというと、代わりに鬼のように強いヤツが自チームに来て何もしなくても勝てる事がある。
こんなのは勿論、何の達成感も得られない。
もしくは相手チームに自分より不慣れな初心者がいれば好き放題ボコボコにする事も可能だが、一時的に気分が良くなっても妙な後味の悪さを感じる。

なぜ同じくらいのレベルのプレイヤーだけでマッチング出来ないのだろうか?
プレイ人口が足りないのだろうか?

とりあえずストレスを継続的に味わう事になるので、勝負事でムキになる人は本当にやめた方がいい。
私は同じヤツに何度もキルされると手が震える程の怒りを感じるレベルまで行ったので、確実に向いてない側の人間である。

ちなみにナワバリバトルでランクを10まで上げると、今度はバンカラマッチというモードでウデマエ(≒ランク)を上げる事ができる。
私は主に「ガチエリア」「ガチヤグラ」というルールの試合でウデマエA+まで上げたが、激しい撃ち合いが延々と続くのでナワバリバトルより精神を病む可能性が高いと思う。

そして冷静さを失うと動きが直線的になり、対面時に必要な左右の揺さぶりや背後からの奇襲ができなくなってくる。
ヤンナルネ……。

なお真偽は不明だが、ウデマエを上げるとナワバリの相手も強くなるという噂もある。

(追記:約2ヶ月が経過した頃、負けた際に想像を絶する苛立ちを覚えるようになり、ついに床にコントローラーを叩きつけてしまった。勝ってもイライラが解消せず、本当に最悪の対人ゲームだと思う。なのになぜやめられないのかというと、悔しい思いを晴らすには誰か別のヤツをボコボコにするしかないからである。こんなゲーム頭おかしくなるよ……)

というかこのゲームはバトルスピードが速くて操作が忙しい&過剰なストレスがかかるため、寝る前にプレイしようものなら興奮して寝付きが非常に悪くなる。
他のゲームとは次元が違う。

……と、愚痴はこのくらいにして、今度はバトル以外の面についても述べたいと思う。

まず、やり込み要素としてはギア(ファッションと実益を兼ねた装備品)とロッカーがある。

ギアというのは帽子や服、靴等の装備品のことで、これに「ギアパワー」というものを装着するとバトルで様々な効果を発揮するようになる。
これの組み合わせを考えるのがなかなか楽しい。

ギアパワーをカスタマイズするには経験値を貯めて「ギアパワーのかけら」を得るというのが正攻法だが、ゲーム内通貨で時短する(NPCに頼んで他プレイヤーのギアと同じor似たものを取り寄せて購入する)こともできる。
やり込んでいる人ほどギアパワーのカスタマイズがエグいことになっているので、金の力で真似させてもらうのである。
あとはバイト報酬でもギアパワーのかけらを得ることができ、時間効率的にはバトルするより早いと思う。

あとはギアでファッションコーディネートする(またはトンチキファッションに興じる)のも結構楽しい。
ストリート系、ウエスタン、レザー、ミリタリー系など様々な種類がある。
個人的にはロッケンベルグの革靴が好き。

あとは休日のお父さんファッションや、黒服の不審者状態でコウモリ傘のブキ(スパイガジェット)を装備すると絵面が楽しかった。
ギアと髪型は男女共用なので、ボーイッシュな女の子や女装男子みたいにする事もできる。

ロッカーは、ロビーのガチャポンの隣の自動ドアの先に設置されている。
なぜ場所を述べたかというと、ゲーム内で場所の説明が無く、しばらく探し回ったからである。

ロッカーにはブキやギア、雑貨屋からの購入品、各モードの報酬等を飾ることが可能。
ロッカー編集は箱庭ゲーに通じるものがあり、ハマると時間が溶ける。
他プレイヤーのロッカーも鑑賞可能で、オシャレだったりクスッと笑えたりする。

また、ロッカーの大きさはナワバリバトルのランクによって変動し、ランク30で最大になる。
結構時間がかかるので、途中で飽きる人もいるかもしれない。

……最後に、バトルのステージは景観が良く、走り回っているだけでも結構楽しいという事も付け加えておく。
特にマテガイ放水路というステージがあるのだが、「地下神殿」と呼ばれている首都圏外郭放水路に近い雰囲気で、見た目だけなら一番好き。
あとは船のマンタマリア号も、抜け道が豊富だし晴れた空の下で白い船に乗れて楽しい。


以上、レビューでした。
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