長編 2

□第五夜
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「………ン…」

ゆっくりと瞼を押し上げた

眠りが深かった様で夢を見ずに済んだらしい



窓の方に目を向けると、太陽は紅と紺色のコントラストを空一面に広げていた



「ミヤビ君、検温の時間だよ」

自分の気持ちと同調する様に空の紺色が色濃くなって行くのを眺めていると、控え目なノックと共に昼間に来た看護士の青年が入ってくる



「暗くなってきたね…電気付けようか…」

直ぐ傍に合った室内の電気のスイッチを慣れた手付きで押す


ジジッ…っと付くのを渋るかの様な音が鳴った後、痛いくらいに眩しい人工的な光りが室内に満たされる


眩しさに瞳を細めていると、青年が傍へと寄ってきた



「はい、先に熱を計ろうね?」

抱えていたモノから体温計を差し出される

緩慢な動作で手に取り、薄い水色の服の合わせ目から脇へと体温計を挟む



青年はそれを見届けた後、残る荷物を近くのキャビネットに置き、次の準備に取り掛かっていた



「失礼するよ……篠宮君、ミヤビ君の容態はどうかな?」


計り終わった体温計を青年に返すと、また入り口でノックの音がし、眼鏡に白衣を身に纏った男が室内に脚を踏み入れる





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