シリーズ

□桜
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「おはよっ♪ヨシくん!!」


ぼぅっと落ちてくる桜の花びらを見ていたら、ニュッ!!と目の前に天使……もとい、俺の片思い相手の雛太の可愛い顔が




こう……
クチとクチが、ほんのちょっと動けばくっ付いちまう位近く…………にッ!!?



「ッて…わぁあっ!!?イデッ!!」



ビックリし過ぎて近所のブロック塀に頭の後ろを強打…

まぢ痛ぇ!!!



「わゎッ!!?ヨシくん頭大丈夫?!!」

派手な音を発てた俺の頭に顔を青くして心配してくる雛太

零れそうな程大きな瞳がジワジワと潤んでくる




「だ、大丈夫だって!!派手に音したけど、もう痛くねぇし!!」


まだズキズキ痛む後頭部…



だが!!
そんな痛みよりも、雛太に泣かれるより我慢出来る!!


俺は雛太の涙に弱い…
胸がギュウッて締め付けられる

何とかして
雛太を笑顔にしてやりたくなる



だから…
痛くない!!!!




「……本当に?」


今にも零れそうなくらい瞳に涙を溜めている雛太…




少し見上げてくる













……………

そ…




そんな瞳で見るなぁあ!!!!!




この前俺は雛太より大人の階段を登ったばかりで、"そういうコト"をされるとカラダが反応してしまう


ちょ…ちょっと…
ヤバい…



「…ッ!!」

言葉に…
と言うか、自分の反応に固まってしまった俺の様子に雛太は勘違いして慌て始めた


「や、やっぱり打ち所がッ…」


もう大きな瞳からボロボロと零れ落ちる涙も…


見せて!!と少し強引に後頭部を見て、ふぅふぅと多分タンコブが出来た辺りに息を吹きかける姿も…





胸じゃなくて
別な所が痛み出す俺…



あぁ…
雛太、ゴメン…













アレから雛太と自分のカラダを落ち着けて、二人でゆっくりと歩き出す



「そういえば、何でヨシくんはさっきボーッとしてたの?」


可愛らしくコテンと小首を傾げる雛太に、一瞬でも気を抜いたらさっきみたいに逆戻りしそうになるのを抑えて答える


「むかし…ヒナと初めて会った時のコト、思い出してた…」



綺麗な笑顔の雛太
周りがキラキラして見えた



「僕と…?」


キョトンとした顔も可愛いと思う…


「うん、あの日もこんな日だったなぁ…って…」



どこかの桜の花びらが風に乗って青い空に舞っていた



「そっかぁ♪」


嬉しそうに笑う雛太…







でも、雛太は知らない

あの日…
あの笑顔で俺は雛太に恋をしたコト





「ヨシくん!!学校遅刻しちゃうよぉ〜?」


無邪気に微笑む



俺は願うしかない……






どうか
どうか…























小学校最後のクラス替え…

絶対雛太と同じクラスになってますように!!!!!!!







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