長編 1

□やってきました蘇芳学園
2ページ/21ページ






「……迷った」


時雨さんと入り口で別れてから闇雲に進んでみたが



コレは完璧


MA・I・GO?!!


「嘘だ!!俺は認めない!!」

「ぉぃ…」

「こんな歳で迷子だなんて……」

「ぉぃ!!」

「いや!! not 迷子!!俺は迷子では無いッ!!!」


ブチッ


…………ん?ブチッ?


「おいお前!!!俺様を無視するとはイイ度胸だな!!学年と名前を名乗れ!!」

耳元で怒鳴られた
耳キーンって…耳キーンってなってる…


「…人のハナシ…「聞いてます!!聞いてますから怒鳴らないで!!」……」

もう一回キーンってなるのヤダよ!?

両耳を塞いで怒鳴った相手を見る


否、見上げる


…クソッ!!俺だって平均的な高身長なのにっ!!

怒鳴られた所為と悔しさで涙が滲む


「!!!!!!!」
「ぅおッ!?」


相手の切れ長な瞳がゆっくりと大きくなっていく

青色に近い黒にサラリと揺れる髪

焦げ茶の瞳は色気ムンムン



正しく"王者"という肩書きがピッタリだ


凄い美形…
政臣さん級[クラス]だ……

因みに母さんも父さんも美形
なのに俺は平々凡々だ


美形に囲まれて育ってきたが…
コレほどとなると…悔しいが見惚れてしまう


「卯月様!!」

「ッ!!??」


は…恥ずかしい!!!
ビクついたのバレなかったかな…
いや…誰だって急に名前叫ばれたら驚くよね…?

誤魔化すように声の方向へ振り向く


「…時雨さん??」

入り口で別れたハズの時雨さんが何故??


「今、理事長室に行ったら卯月様はまだ到着してないとッ…心配致しました…」

フワリと抱き締められる
控え目に付けてある香水が時雨さんに合っていて心地良い


くっ付いた場所から時雨さんの早い心音が聞こえて、仕事増やしちゃったなぁ…と反省…

「ゴメンナサイ…」

「ご無事で何よりです…さぁ、理事長がお待ちしておりますので…」


しっかり付いてきて下さい、なんて言われながら手を繋がれた…
時雨さん…俺に憤死しろと?

それでも心配してくれてる事に変わりはないから、されるが儘だけど…


手を引かれながら後ろを振り返る


美形は壁に手を付いて何かブツブツ言ってた


まぁ…いいか……









「…まさか……俺様が…な……」
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ