長編 1
□やってきました蘇芳学園
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「…デカッ!!!」
窓の外から見えるゴージャスな門
卯月は開けた口が塞がらない儘見上げた
「クスクス…」
車の運転席から小さく笑い声が漏れ聞こえる
目を大きく見開いた儘、卯月は声の方に顔を向けた
「ぅ…卯月様…お可愛らし過ぎま…す…!!」
笑いを耐えながら喋るその人は、自分をココまで運転してくれた政臣さんの秘書
芥川 時雨[アクタガワ シグレ]さんだ
柔らそうな茶髪にお日様みたいな笑顔を讃えてる
美人さんだ!!
男の人だって判ってるのに顔が赤くなる
「ッ!!!!」
あれ?時雨さんも真っ赤…
「…(卯月様…そのお顔は反則です!!)」
風邪かな?季節は春って言っても夜は冷えたりするしな
二人の思考が空回りする中、開いた門をくぐり抜け
遠くに見える校舎目指して車は進んでいく
普通なら校内に車は乗り込んじゃダメだけど、この"蘇芳学園"は歩いていったら日が暮れるらしい
「…ホント…デカい…」
因みに校舎も馬鹿デカい
……見上げてたら首痛くなってきた
「…(卯月様…そんな無防備な)」
時雨さんが溜め息を吐いたのが聞こえて慌てる
ヤベ!!時雨さんだって他の仕事あるよな?!
「時雨さん!!ココまでありがとう!!俺、政臣さんとこ行ってくるから時雨さん仕事戻っていーよ!!」
「あ!?卯月様!!(理事長の所に連れて行くのが仕事なのですが?!!)」
時雨の胸の内を知らず、卯月は豪華絢爛な校舎へと踏み込んでいった