☆矢文2
□熱帯夜と抱き枕
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「暑い」
風の無い熱帯夜。
12宮のほぼ中腹に位置する、獅子宮では窓全開にも関わらず、全くの無風状態が毎晩続いていた。
毎晩の寝苦しさにウンザリ気味のアイオリアは、寝不足気味ながらも傍らに寄り添う恋人に不満を告げる。
そんなアイオリアの隣には涼しい顔をしたシャカが黙っている。
「シャカ、暑い」
「私は暑くない」
アイオリアの不満の言葉をあしらうがのごとくシャカは反論の言葉を告げる。
玉のような汗を流すアイオリアとは対称的に、汗を流すどころか、更に涼しい顔でアイオリアの背中にしがみ付く。
普段の体温が低いからなのか、背中に当たるシャカの腕が気持ち良く感じる。
「いい加減離れろよ」
「君は黙って私を暖めていればいい」
アイオリアの熱を求めるシャカと、シャカの冷たさを背中に感じるアイオリア。
長い夏の夜はこうして更けてゆくのだった。
【完】