☆矢文2
□修復師とおかしな頼み事
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「ムウ居る?」
次期教皇に成るため日々頑張っているアイオロスは、自宮と教皇の執務室の往復のみで生活しているため、ムウの居る白羊宮に現われることはまったく持って珍しい事である。
聖衣の修復で忙しいムウだったが、珍しい来客にお茶を出したのが間違いだったのだと後々後悔する事になる。
「珍しいですね、あなたが下まで降りてくるのは」
「そう?」
「ええ、普段降りてきても双児宮までですから…所で何か用ですか」
あまりのんびりアイオロスとおしゃべりしている時間もないので、すかさず本題に入る。
「ムウに作ってほしいものがあるんだ」
「作る?」
ムウは聖衣の修復師、そのムウに作ってくれと言うのなら聖衣関係なのかと話を聞いてみると、話がおかしな方向に。
「……申し訳ありませんがもう一度お願いします。」
「だから、私のモノと同じ大きさの張り子を作ってほしいんだって」
アイオロスの台詞に頭を抱え溜め息を吐くムウ。
アイオロス曰く、サガとの夜の営みが最近マンネリ気味なのでかわった趣向を試してみたいと、そこで黄金聖衣と同じ素材でアイオロスの一物そっくりな張り子を作ってほしい!と頼みに来たとのこと。
「何で聖衣の修復に必要な貴重な材料を使って、そんなもの作らなくてはいけないのですか!!」
「余った材料でいいから」
「そもそも、同じモノをつくるってことは、私があなたの下半身を見て触らなくてはいけないじゃないですか!」
「私もサガ以外に見られるのは嫌だが、我慢するから頑張ってくれ」
「帰ってください!」
アイオロスの台詞に、ムウは普段では見られないであろう鬼の形相で暴言を吐きつつ追い返すのだった。
【続く】