☆矢文2
□騙し騙され
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「カノンならどんな嘘をつく?」
昨年、エイプリールフールと言うイベント引っかかりアイオロスに悪戯をされたサガは、今年は逆に悪戯をしようと考えた。
だが、普段が真面目なサガ、嘘をつこうと色々考えるが中々思い付かないが故に、カノンに相談。
余り乗り気でないカノンは一言。
「だったら子供が出来たって言えば、あのエロ馬すぐ騙されるぜ」
「…カノン、私は男なのだが?」
「そんな事分かってる」
モヤモヤしながらも、仕方なくその嘘を付くことにしたサガだったが事態は予想しない方向に。
4月1日の早朝。
何時ものように執務室にて作業中、サガは真面目な表情でアイオロスに告げる。
「アイオロス…実は、子供が出来たのだ」
「誰が?」
「私が」
サガの衝撃の告白に、眉間に皺を寄せたアイオロスはサガを見つめる。
「誰の子供?」
「君以外に誰がいるというのだ」
その言葉に眉間の皺は取れ、変わりに目尻を下げている。
アイオロスはサガに近づくと、お腹に耳を傾け何かを聞きながらお腹を優しく擦りはじめた。
アイオロスを騙せた事を確信したサガは、今日はエイプリルフールで嘘を付いても良い日な事と、子供が出来た事は冗談だと告げたのだが、アイオロスは首を傾げながら告げる。
「でもサガのお腹から鼓動を感じるよ」
「え?」
アイオロスが言うには、お腹の中からはサガとは違う鼓動が聞こえると。
でもサガは男、子供が出来る事はないことは分かっているが、アイオロスの告白に動揺。
そんなサガに対してアイオロスは揚々と告げる。
「身重な体で無理したら駄目だよ」
双児宮に戻ってきたサガは真剣な表情でカノンに大事な話を切り出した。
「カノン、私は暫らく任務に就くことが出来ない、双子座の聖衣をお前が纏うのだ」
「はぁ?なんで任務に就くことが出来ないんだよ」
「このような身重な体で任務に就いては足手まといになる」
「身重?」
サガは執務室でのやり取りをカノンにすべて話した。
「エロ馬に騙されてんじゃねーよ!!」
「何を言っているのだ、実際に鼓動が…」
暫らく双児宮で兄弟喧嘩が繰り広げられるのだが、今年の四月馬鹿はサガの嘘を逆手にとったアイオロスの勝ち。
【完】