☆矢文2

□秋の水浴び風邪と看病
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此処は獅子宮の寝室。
昨日の昼に、兄であるアイオロスに付き合わされて寒い中水浴びをしたアイオリアアは、案の定風邪を引いて寝込んでいた。
有無も言わさず付き合わされ、自分は風邪で苦しんでいるのに、原因を作ったアイオロスはピンピンしていると言う事実にアイオリアは些か理不尽さを感じていた。


寝込んでいて何も出来ないので、仕方なく小宇宙でムウにお使いを頼んだのだが、数分後獅子宮に現われたのはシャカだった。

「シャカ?」

「君がムウウに頼んだものはこれだけか?」

手渡されたものは確かにムウに頼んだもの、不思議そうにシャカの顔を見つめているとシャカはムウに頼まれたと。
アイオリアの小宇宙通信を受け取ったムウは、師であるシオンの看病が忙しく仕方なくシャカに代理を頼んだらしいとの事らしいのだった。

「アイオリア、私とてこのぐらいのお使いぐらいは出来るのだ」

「そうか、ありがとう」

自信満々に伝えるシャカに素直にお礼を伝える。


風邪がうつるから帰ったほうが良いと伝えるアイオリアを余所に、台所から暖かい湯気を昇らせる鍋を持ってきたシャカ。

「ムウが君に食べさせてやれと言って暖かいシチューを貰ったのだ」

皿に盛ったシチューをアイオリアの元へと運ぶシャカだったが、皿を渡さない。

「シャカ食べるから皿…」

「私が食べさせてやろう!」

何だかんだで看病がしたいシャカは、スプーンをアイオリアの口元へ。
楽しそうなシャカの姿に、逆らう気も削がれたアイオリアは口を開ける。
何度か繰り返しているうちにシャカが笑いながら答える。

「何だか君を餌付けをしているみたいだ」

その答えを聞いたアイオリアは、口を大きく開けると笑いながら一言告げる。

「もっと」

そんなやり取りを繰り返しながら二人の時間は過ぎていくのだった。

【完】
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