文【弐】

□変わった花見の楽しみ方
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人の疎らな公園を、何故か傘を差したまま花見をしている雲雀と了平。

数日前に了平から花見の誘いを受けていた雲雀は、週末に満開になるであろう桜を楽しみにしていた。
だが花見当日、朝起きてみるとあいにくの雨模様。
これでは花見は中止だね、と落ち込んでいた雲雀邸に了平が現われて一言。

「雲雀、花見に行くぞ!」

「はぁ?雨天決行なの」

と今に至る。


二人の見上げる先には、降り続く雨で無残にも散った桜の木ばかり、これでは花見とは言えない。

「桜、楽しみだったんだけどね」

そう呟いた雲雀に、了平は地面を指差し答える。

「桜の絨毯だ」

視線を向けると足元には、桜の花弁が沢山ちりばめられた絨毯ができている。

「たまには違った花見でも良いではないか」

最悪な天気を払拭するような満開の笑顔で了平は笑いながら答える。

『来年は満開の桜を見よう』と。


【完】

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