□呪いと子犬
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いつもの時間のいつもの通学路、何時もと変わらない毎日の始まり。

そんな中、学校に向かう雲雀の目に一つの段ボールが目に入った。
普段なら全く気にならないであろうゴミだが、視線を向けるとその段ボールがひとりでに動き、中から子犬が一匹顔を出した。
その犬は大きな欠伸をし、何故この場所に居るのか状況が分からないのか辺りをうかがっている。
こちらに気付いたのか、雲雀を見るなり千切れんばかりに尻尾を振っているのが目に入ったのだが、雲雀は特に気にする事もなく歩きだした。



放課後。

雲雀は朝の子犬の事などすっかり忘れていたのだが、偶々通りかかった際、女子中学生がその子犬を撫でている所を目撃する。
すると雲雀に気付いた子犬が、雲雀に向かって鳴きながら尻尾を振ってくる。
雲雀に気付いた女子中学生は犬を置くと、逃げるようにその場を立ち去った。
鳴きながら子犬は必死に段ボールから出ようと藻掻いているのだが、中々出られないらしく箱だけが揺れている。
子犬の側を通る際、きつい一言を吐く。

「君馬鹿だね、僕に構わず女子に懐いてたら飼ってもらえたのに」

そう吐き捨てると、構わずに歩きだしたのだが、その後ろでは子犬の鳴き声だけが悲しく響いていた。


その夜。

お約束通り、バケツを引っ繰り返したような感じの大雨になり、なぜか雲雀は子犬が気になって仕方がないらしく、最終的には見回りと称して見に行く事に。

帰りぎわに見た状態で段ボールが放置されているのが確認できた雲雀は段ボールを覗くと、隅っこでプルプルしてる子犬を発見。
雲雀に気付かないまま震える子犬を拾い上げる。

「君を助けたんじゃないからね」

そんなこんなで、雲雀と子犬の楽しい同棲生活が始まる。
学校も一緒に登校、雲雀は子犬に子犬も雲雀にべったりな感じで、中睦まじい様子が至る所で目撃される。

子犬が立派に成長していく中、沢山の群れと雲雀一人が戦うことに。
雲雀一人でも大丈夫な人数なのだが、子犬にはそれがわからず、雲雀を助けるため子犬が加勢。
その意地らしい姿に雲雀ときめいたらしい。


最後のお約束は、お姫さまのキスで王子さまの呪いが解けて、子犬が人間の姿に!!

「雲雀ありがとう、おまえのお陰で呪いが解けたのだ」
って、本当なら此処でめでたしめでたしなんだろうけど、雲雀は少し違う。

「ちょっと…僕の了平をどこに隠したの!!」

「俺が了平…」

「素直に出さないと咬み殺すよ」

な感じで聞く耳持たずに喧嘩腰。
人間了平に一目惚れなんだけど恥ずかしくて素直になれない雲雀。
でも最後はハッピーエンド、二人は末長く幸せに暮らしましたとさ、めでたしめでたし。

【完】

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