□予定外のクリスマス
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イルミネーションに彩られた街。
楽しそうに行き交う人々を車内から羨ましそうに眺めながら、沢田綱吉ことボンゴレ10代目は、溜め息を吐きながら愚痴を溢す。

「本当なら今頃、京子ちゃん達とクリスマスパーティーだったのになぁ」

ツナは京子達とクリスマスパーティーを計画し、この日の為に仕事を頑張って終わらせた筈だったのだが、手違いで仕事が残ってしまい、泣く泣くクリスマスパーティーを欠席と言う事態になってしまったのだった。

「お兄さんも予定があったのに申し訳ありません」

ツナの隣では了平が護衛についている、その了平に綱吉は謝った。
本来10代目の護衛として付くはずだった山本武は珍しく高熱でダウン、獄寺隼人はその看病に付く羽目となり、最終的に白羽の矢が了平に刺さったという事だった。

馬鹿は風邪を引かないと言った迷信を信じていた獄寺は『お前馬鹿じゃなかったんだな』と山本を見直したらしい……少し違うのだが山本にとっては結果オーライだった。

「俺は構わないのだが、雲雀が…な」

そうなのだ、本当なら了平は雲雀と二人でクリスマスを祝う筈だったのだが、了平に護衛をお願いした結果、その邪魔をした形になった。

「この貸しは高く付くよ」

雲雀にお伺いに向かった綱吉に向かって、雲雀は無表情で冷たく言い放ったのだった。

『俺、何されるんだろう』

雲雀の高い貸しの恐怖に、フルボッコされたほうがまだましだったよなぁ等と考えていた。

「お兄さん、なるべく早く終わらせて帰りましょう」
「うむ、極限わかった!」

何だかんだで京子ちゃんとのクリスマスパーティーを諦めたくないツナは、何が何でも仕事を終わらせようと必死なのだった。




思ったより仕事も早く終わり、日付が変わる前に了平は自宅に戻ることが出来た。
部屋の入ると、暗闇の中キャンドルに明かりが灯りその前で雲雀がお酒を飲んでいた。
了平の姿を確認すると、無言で自分の前に座れと指差す。

「メリークリスマス」

その言葉と一緒に口付ける。

「雲雀、かなり酔ってるな」

自分に絡まる雲雀を抱き締めながら、ため息混じりに呟く。
いつ帰るか分からない了平を、酒で誤魔化しながらも待っていたのだという事実に了平は頬が緩む。

了平が帰ってきたことに満足したのか、そのまま雲雀は寝てしまった。




そして年末。

「1ヶ月了平は休むから」

ボンゴレのアジトに顔を出した雲雀は『クリスマスの貸しを返してもらうよ』と了平の休みをもぎ取っていった。
嫌とは言えないツナは苦笑いで見送ったのだった。
年末年始、雲雀と了平は仲良く二人で温泉に浸かりのんびり過ごしたとの情報は後に、草壁経由で伝えられる事になる。


【完】

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